第28話

「怖がらないで下さい」



再び恋人のように絡められた両手が、顔の両側でベッドに縫いとめられる。



「…っあ」



露わになった膨らみを柏木君の舌が這う。



ゆっくりねっとりと唾液を絡ませながら上ってきた唇が、鎖骨や首筋あたりを何度も強く吸い上げた。



「やっ、ぁ…」



力の抜けきった私に柏木君がクスリと笑う。



右頬に柏木君の左手が添えられて、もう片方の手が下へと下がっていく。



「綺麗だよ、雪乃さん…」


「…っえ、ぁ…っやぁ!」



初めて呼ばれた名前。



驚き目を見開いて柏木君を見上げた刹那、ショーツに入り込んだ大きな手に敏感な場所を刺激された。



「っ、はっ…ゃ…」



涙と共に出る声は自分のものとは思えないほど高く、柏木君と絡まっていた視線を外したくて顔を背けた。



「雪乃さん」



けれど、添えられていた柏木君の手によって顔を上げられ、弓なりに微笑む目と視線が絡まる。



私の中に入った指は執拗に敏感な部分を撫であげ、バラバラと動き続ける。



卑猥な音が響く中で私の体は何度も強張って、その度に柏木君はイッたねと耳元で囁いた。



ガクガクと震える下半身にはもう力が入らない。

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