第27話

柏木君は怒りを感じると、無意識のうちに力が強く入ってしまうのだろう。



力加減のない恐怖は確実に私を震え上がらせる。




「今日から毎日頑張って貰わないと」


「…っ」



肌を滑っていた唇が強く吸い付く。



欲情に濡れた瞳で私を見つめる柏木君の言葉を理解する暇もなく、恐怖で涙が溢れた。



また、嫌いな私のことを抱くつもりなの…?



服の中へ滑り込んできた手が肌を撫で、呼吸を奪うように唇が重なった。



「やっ…」



拘束の解かれた手で柏木君の肩を押し返すけど、なんの抵抗にもならず行為は進んでいく。



背中にまわった腕が私の体を持ち上げて、プツリと下着のホックを外された。



「んっ…はぁ、ぁ…」



差し込まれた舌が慣れない私の舌に絡まって、小さな水音を響かせる。



同時進行で行われる行為に頭がついていかない。



そして、唇が離れた一瞬の隙にTシャツと下着を一緒に剥ぎ取られた。



「っや!…まって、」



ネクタイ同様ベッド下に落とされた衣服に、羞恥で更に涙が頬を伝う。



ショーツだけの姿になって体を隠す私を見て、柏木君は口角を上げていく。

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