第23話
ギリギリと痛む肩。
手加減のない力の強さに恐怖で涙が溢れた。
「あー、また泣く」
柏木君が呆れたように呟く。
この涙は柏木君の所為なのに…そう思っても怖くて言葉になんて出せない。
せめてもの抵抗で顔を背けてみたけど、顎を掴まれて顔を固定されてしまった。
「どうせもう逃げれないんだから、諦めてください」
柏木君の吐息が、私の唾液に濡れた唇にかかる距離。
偽りの笑顔さえ消えたその顔で、柏木君は冷たい言葉を落としていく。
「全部白石さんが招いたことなんですよ」
「…っ」
「これ言うの何度目だと思いますか」
淡々とした声を私の耳に届けながら、次々と流れる涙を優しく指で拭う柏木君。
まるで私がいけない事をして怒られているような錯覚に陥ってしまう。
「まぁ、白石さんは理解するのが遅いって知ってるから。何度だって言ってあげますよ」
そしてまた唇が重なった。
今まで一度もしたことの無かったキスを、この短期間で何度しただろう。
しかも、心のないキスだ。
深くなっていくキスにキツく瞳を閉じながら、虚しさだけを感じていた。
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