第22話
「お、おかえり…なさい…」
「ただいま」
震える唇がまた柏木君の唇と重なる。
拒もうと肩を押し返すけど、キツく縛られた腕ではどうしようもなかった。
呼吸を奪われ貪られる。
ギュッと目を閉じれば、意識が飛びそうだ。
「おっと危ねぇ…」
「っ…ハァ、ハァ」
寸前のところで離れた唇は濡れていて、柏木君が親指で拭っていく。
「ハハッ、また気絶させるところでした。さすがに夜ご飯は食べてもらわないと」
「…え」
「お昼はご飯を食べる前に気絶させてしまったので」
「…お昼…っ!え、あ、私っ…仕事はっ」
お昼休憩中に私の家に行ってからの記憶がないことに気づいて時計を探すけど、柏木君の家の時計が見当たらない。
窓のカーテンは黒くしっかりと閉じられている。
「大丈夫ですよ。早退の連絡は入れておきましたから」
「そんな…か、かって、に…っ」
瞳がジワリと熱くなる。
「い、いたっ…ぃ…」
さっきよりも強く私を引き寄せる手が肩に食い込んでいくのに、至近距離にある柏木の顔は笑みを深めていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます