第17話
俺の口づけになんの反応も示さないその姿を見て思い出されるのは、初めて白石さんを抱いた時のこと。
「ククッ、可愛かったなぁ」
白く柔らかな肌に、普段は隠れて見ることのできないしなやかな体は、想像以上だった。
誰も触れたことがないとわかった時の高揚感も、俺を欲情させるには十分で何度も抱いた。
「あー、やっべ…」
早く夜にならねぇかな。
そんな事を考えながら、俺は上司に電話をかけた。
「お昼休憩中にすみません、柏木です。今社外で白石さんとお昼を食べていたんですけど、体調を崩されたので早退させたいのですが…」
普段外面が良いのはこういう時に役に立つ。
申し訳なさそうな声を出せば上司はすぐに了承してくれて、俺には午後からの仕事に遅れていいと言ってきた。
本当ちょろすぎ。
通話を切って白石さんを見下ろせば、俺に怯えることなく気持ちよさそうに眠っている。
「あと少しですよ、白石さん」
そんなに無防備に眠っていていいんですか?
あと少しで貴女は苦手な後輩のものになってしまうんですよ?
…でも、しょうがないですよね。
「優しいだけでは、俺のものになってくれないんですから」
全部、白石さんが悪いんですよ。
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