第6話
会社の飲み会が行われたのは金曜日の夜で、意識のないまま柏木君に抱かれて、目が覚めたのが土曜日のお昼頃だったと思う。
そこからまた抱かれて、目が覚めたのは日付が変わってから。隣で気持ち良さそうに眠っている柏木君の家から逃げるようにして自宅に帰った頃には、もう日曜日の朝方になっていた。
「はぁ、はぁ…」
腰の痛みと腹部の鈍痛が残る身体は玄関で力尽きて、柏木君との行為を思い出しながら、自分で自分の体を抱きしめる。
私を抱いている時の柏木君の笑顔が脳裏にこびりついて消えない。肌に触れる手つきも、腰に打ち付けられる刺激も、重ねられた唇も全て身体が覚えている。
私にとって初めての行為だった。
それを会社の後輩に、しかも私を嫌いな柏木君に奪われたショックが涙となって溢れ出す。
これも柏木君の嫌がらせなのだろうか。
私がいつまでたっても会社を辞めないから、うっとうしてくて嫌がらせで私を抱いたのかもしれない。
もしそうだとしたらこれはやり過ぎだ。
それでも、私にはどうにかすることができない。
会社の人に相談したって、柏木君がそんなことするわけないと私が疑われてしまう。
「っ…」
ベタつく体が気持ち悪い。
冷静になってみれば、柏木君に抱かれてからお風呂に入っていない。気づいてしまうといてもたってもいられなくて、浴室に走った。
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