第82話

頭をよぎる犯罪という文字。



携帯をテーブルへ置いた優くんは、まだ少し湿り気のある私の髪を撫でていく。



「どうして震えてるの?」


「…っえ、」


「未成年の俺とシたから、怖くなった?」


「…ゃ、ちが、」



頭の中で濁していた部分をストレートに言い当てられ、言葉に詰まる。



誤魔化しなんて、優くんに通じるわけない。



その唇が、綺麗な弧を描く。




「大丈夫だよ。お互い合意のうえでシたんだから」




ゆっくりと近づいてきた唇が重なり、啄むように触れ合うと、静かな室内に消える吐息。




「ね?そうでしょ?」


「…う、ん」


「お互いが求め合ったんだから」



犯罪扱いされるわけないよ、と笑った優くんに抱えられていた体が持ち上げられ、向かい合うように膝の上へ座らされる。



腰に力の入らない私はバランスを保てず、優くんの体へ倒れ込む。

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