罠と罰

第79話

全身を襲う倦怠感に、ユラユラと揺れる水面を見つめる。抱きかかえられるようにしてお風呂に入る私は、文字通りぐったりとしていた。



「疲れちゃった?」



クスクスと笑いながら濡れた髪を掻き上げるのは、さっきまで私の体を洗っていた優くん。



凄く恥ずかしかったけど、抵抗する力なんて残っていなくて、丁寧に滑る手が中のモノをかき出している時は、ずっと優くんの肩に頭を擦り付けていた。



「可愛い。寝てもいいよ」



指先が頬を撫でる。


私は小さく首を振った。



「くす、り…」



掠れた声が浴室に響く。



「あぁ、そうだった」



忘れてた、と笑う優くんに不安を煽られる。




お風呂に入る前、自分から溢れるそれに恐怖し泣き出した私に、優くんは情事後の避妊薬があると言った。



早く飲ませてとお願いしたのに、彼はそれを笑顔で一蹴し、お風呂に入ってからね、と私を浴室へ連れてきたのだ。



私は早くお風呂を出て薬を飲みたいのに、体を洗った優くんは寛ぎ始めて今に至る。



「優くん…」



早く、と目で訴えるけど彼は微動だにしない。

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