第70話

優くんの唇が綺麗な弧を描く。



少しだけはだけたワンピースから覗く脚に、細くて大きな手が這う。




「…っ!?」


「俺、綾ちゃんとシたい」




耳元で囁かれ、目を見開く。



その瞬間、室内の雰囲気がガラリと変わった。




「ま、待って…、優くんっ、ダメ…っ」




脚を撫でる手を慌てて掴んで首を振るけど、私の意思とは関係なく、ベッドへ押し倒される。



少しずつ明るくなる外の景色。



朝日がほんの少し顔を出したのか、先程よりも鮮明になった優くんの表情が私の震えを更に助長する。




「こ、なの、良くな…い…」


「何がダメ?全部言って。聞いてあげるよ」




なにがそんなに楽しいのか、クスクスと笑う。



怖いのに。


背筋がゾクリとするほど甘い。



ベッドへ押さえ付けられた指先が、ゆっくりと絡まっていく。

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