第66話

「あ、本家行く前に優のとこ寄って」



夜の街を走り抜ける車内。



思い出したように運転手へ告げた和樹の隣で、陽太は首を傾げる。



「なんで」


「コレ、玄関ポスト入れとけって頼まれてた」


「薬…?」



座席にポンッと投げられた錠剤の束。



「ピル」


「あぁ」


「しかもアフター」



珍しく苦笑いする和樹に、その考えを察した陽太も同じそれを返す。





可哀想な女。





ほんの少しの良心がそう思わせるが、陽太も和樹も、彼女を逃す気は更々ない。

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