第46話

『綾ちゃん?』



2コールする間も無く聞こえた声に、あ、と声が出る。




「優くん?」


『うん。どうしたの?』


「今日会えるって…あの、何時に行ったら、会えるのかなって…」




なんか変な言い回しになった気がする…。



その証拠に、電話の向こうで優くんがクスクスと笑ってる。



『そうだった、時間決めてなかったね』


「優くんに合わせるよ」


『ほんと?…じゃあ、今日は一日中一緒にいようね』


「…え?」




私が聞いたのはカフェに行く時間なのに、なんだか意味合いが違う。



それに一日中一緒って…。


その響きに何故かドキッとする。




「一日中居たら、奥山さんに迷惑じゃないかな…」


『フッ。ずっとそこに居るわけじゃない。行きたいところあるんだ。俺に付き合って』


「え、い…行きたいところ?」


『俺に合わせてくれるんでしょ?』


「え、あ、うん…」



少しずつ噛み合わない会話に追いつけない私は、流されるまま頷いていく。

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