第42話

ジワリと涙が滲む。



こんな所で泣き虫を発動するなんて絶対ダメなのに、視界は徐々に歪んでいく。



泣いちゃダメ…。


隣には永瀬くんだっているのに。



人に嫌われることが怖い私は、こんな小さな相手の変化で怯えて本当に情けない。




『明日、俺Lamp行くよ。綾ちゃんも来る?』



少しの沈黙のあと落とされた言葉に、相手には見えもしないのに何度も頷いた。




「うんっ、い、行く…」




誤魔化しきれず震えてしまった声で小さくそう言えば、クスクスと笑う。




『絶対だよ?……待ってるね』




耳にこびりつくような甘ったるい声を最後に、通話は切れてしまった。






「あっ!そこの、お花屋さんの横にあるアパート…」


「ん?あー、あれね」




突然声を上げた私に驚くこともなく、永瀬くんは静かに車を停めた。

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