第40話

「はい、」



恐る恐る押した通話ボタン。



『……』


「あ、あの、」


『…綾ちゃん?』


「!!」



機械越しに聞こえた声にドキッとした。



久しぶりに呼ばれた名前。




「あ、え、優くん…?」


『そうだよ。あれ、番号登録してなかったの?』


「え、だって、交換してな…」


『初めて会った日、着歴残してたのに』



鈍感だね、とクスクス笑う優くん。



動揺して視線を彷徨わせると、こちらをチラリと見た永瀬くんと一瞬だけ目があった。



声のボリューム大きかったかも…。


恥ずかしくなってキュッと口を結ぶ。




『俺もう本読み終わったんだよ』


「ほ、本当?…気に入ってもらえたかな?」


『うん。だから、会いたいな』




少しだけ低くなった声に、またドキッとした。

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