第39話

地下駐車場に停めてあった永瀬くんの車へ乗せてもらうと、緩やかに発進して、キラキラと光る夜の世界を走り抜けていく。





「今度の部長の送別会、前に春田を連れて行った所でやろうと思ってる」




アコースティック調の音楽が流れる車内で、時より自宅までの道案内をしながら話すのは、飲み会の話。



本社へ移動になる部長の送別会の幹事を任されたのは永瀬くんで、出欠確認をするのは私がやることになってる。



「すごく美味しかったから、いいと思う…!」


「大人数だろうし、鍋のコースとかな」


「お鍋いいね。月曜日に出欠表貼り出しておく」




飲み会はあまり得意ではないけど、こういう時はちゃんと行かないとね…。女性もいるし…。




部長には申し訳ないけどちょっと憂鬱で、つい視線を落とした時、ちょうど携帯が振動を始めた。




「ん?なんか振動の音するけど、春田の?」


「え、あ、うん…」




また、さっきの登録のない番号。




「気にしないから電話でていいよ」


「う、うん…」




もし間違い電話なら、早めに訂正してあげた方がいいよね…。

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