第23話
それからは奥山さんがこちらを気にする様子もなく、私もいつも通りにゆっくりと過ごした。
そして家に帰った私は盛大に頭を悩ませていた。
優くんに読んでもらいたいお勧めの本がありすぎて、最初の一冊がなかなか決まらない。
そもそも、私は彼のことをよく知らないし。
よく知らない人に本を貸すことになるなんて自分でもびっくりだけど、年下の高校生にあれだけフレンドリーにされては断れない。
今時の高校生はみんなあんな感じなのか…。
彼と一緒にカフェへ入ってきたお友達は、優くんよりも着崩された制服と明るい髪色。大きな声で奥山さんに挨拶をしていた金髪の子は、ちょっぴり怖かった。
「…あ、これいいかも」
本棚から引き抜き、手に取った本をパラパラとめくる。
恋愛要素のないファンタジー小説なら、高校生の男の子も気に入ってくれそうだし、私も大好きなお話だ。
優くんに貸す本も決まりなんとなく時計を見れば、あと少しで日を跨ぐ時間。そろそろ寝ないと、とずっと触れていなかった携帯をバッグから取り出す。
「わ、」
バッグの中で何かの下敷きなっていたのか、画面のひび割れが確実に広がっていていて、最悪、と思うと同時になんだか不吉だな、なんて思った。
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