第20話

「間接キス、しちゃったね」


「っ!?」


「ふっ。真っ赤」


「…っ」




馬鹿にしたような笑みを溢され、頬が熱を持ちジワジワと視界が濡れていく。




私、高校生に馬鹿にされてる…!



会ったのは2回目だとしてもほぼ初対面みたいなものなのに、勝手に目の前に座って、アイスコーヒー飲まれて飲まされて、間接キスって言葉に動揺したら笑われて。



名前だっていつの間にか綾ちゃんって。


私の方が年上なのに…。



こんなことで泣くのはもっとダメなのに、子供の頃から変わらない泣き虫な性格が恨めしい。





「ごめん、泣かないで」



目尻に触れる指先。



その冷たさにビクッとして顔を上げると、眉を下げた彼が私の涙を拭っていた。



「仲良くなりたかったんだ」


「なか、よく…?」


「うん。…それ、俺も興味があって」


「こ、これ…?」



向けられる視線に、私は自分の本を手に取った。

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