第19話

どうして彼はここに座っているのだろうか。



カウンターにもう一度目を向ければ一瞬だけ奥山さんと目が合ったけど、さっき私がしたようにサッと逸らされてしまった。



そして振り返った金髪と茶髪の高校生2人。




「またよそ見してる」


「あ、の…お友達が見てます…」


「はい、綾ちゃんも飲んで」


「え?」


「俺ばっかり飲んでたら悪いでしょ?」



私の言葉が聞こえていなかったのか、目の前に差し出されたアイスコーヒー。



受け取ろうとしたら、それを阻まれた。



「このまま飲んで」


「え、でも…」



手に持ったアイスコーヒーのストローを私の口元へ運び、優しく笑う。



恥ずかしいから断りたいのに、有無を言わせない空気に負けて、私はそっとストローからアイスコーヒーを吸い上げた。

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