第18話

チラリと奥山さんの方へ視線を送れば、派手な髪色をした2人の男の子はカウンター席に座っていて、なにか話している様子だった。




「どこ見てる?」


「え、」




目の前の席に座り頬杖をつきながら私を見つめる彼は、4日前に道端でぶつかってしまった人。



「俺の名前覚えてる?」


「あ、えっと…」



珍しい名前だったから覚えてるけど、彼の纏う空気と黒曜石のような瞳が私の思考を惑わし、喉が詰まる。



「伴城くんっ、でしたよね…」


「優でいいよ」



目を細め微笑む彼は、制服を着ていなければ高校生には見えなくて、私の方が年上なのに、その落ち着いた雰囲気に呑まれてしまいそう。




そのまま暫く見つめられ、どうしようかと視線を彷徨わせていれば、彼の手によって再びアイスコーヒーが視界から消えた。



「これ、甘すぎない?甘党なの?」



ストローでカラカラと中を掻き混ぜながら言われ、私の視線はアイスコーヒーへ向く。




「シロップひとつだとまだ苦くて…」


「へぇ。綾ちゃんの口はお子ちゃまなんだね」




意地悪く笑う彼は、楽しそうにそのアイスコーヒーを口にした。

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