第14話

永瀬くんが選んだお店は、焼き鳥からお刺身、小さなお鍋までたくさんのメニューがある個室の居酒屋だった。



ビールのおかわりを何度もする永瀬くんに圧倒されながら、お酒に弱い私はレモンサワーをチビチビと口にする。




「最近、残業ない日急いで帰ってねぇ?」



ビールジョッキをテーブルに置いた永瀬くんは、首を傾げながら私を見つめる。



確かにLampへ行くようになってからは、残業しない日は少し早足で会社を出るけど、そこまで慌てて見えているのだろうか。



もしそうなら、少し恥ずかしい…。




「春田に男ができたのかもって噂になってる」


「え、男!?ち、違うよ!そんなんじゃないよ…」



そんな噂が流れていたなんて知らなかった。



「お気に入りのカフェがあってね。そこに少しでも長く居たいから、バスの時間に間に合うように急いでるの」


「カフェ?」


「うん。半年前くらいに見つけたの」


「なんてカフェ?」




聞かれて、少し固まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る