第13話

そして、感じた視線。



「…?」



背中を押されながら振り返ると、それと同時に黒塗りの車が動き出すのが見えた。



真っ黒なフルスモークの窓に視線が釘付けになる。





「コラ」


「っ!……え、え?」



ペチッと額を叩かれ、ビックリして永瀬くんを見上げると、その表情は少し前と同じ難しい顔。



「あんまり顔向けない方がいい」


「え?」


「ほら、行くぞ」



再び私を促す永瀬くんと共に歩みを進めた。




だけど、どこか腑におちない。



あの車のことを深くは知らないと言う割に難しい顔をするし、私にはあまり教えたくないのかな…。




永瀬くんにバレないように一瞬振り返っけど、もうそこには立ち止まる人も黒塗りの車もいなかった。

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