第11話

「繁華街抜けてすぐの店だから」


「うん」



タクシーから降りて、永瀬くんの目的とするお店まで少しだけ歩くようで、金曜日特有の人の多さにちょっぴり驚いた。



「ここによく来るの?」


「来るよ。春田は…イメージないな」


「ふふ。永瀬くんのイメージ通りかも」


「今から行くのは個室のある店だから、安心して」


「ほんと?よかった…」



さっきタクシーの中で予約の電話を入れていたから、きっとそのお店だろうし、私に合わせて繁華街から抜けた場所を選んでくれた。




また気を使わせてしまった…。



ありがとうと伝えれば、永瀬くんは今日は飲むぞとまた意地悪く笑った。







「あ、ねぇ、アレ見て!」


「うわ、あの店なにやらかしたの?」



夜のお店で働いてると思われる女性が、顔を青くしながら私の横を通り過ぎる。



それと同時に、元々賑わっていたその場所が異様にざわつき出した。

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