第7話

「あ、の…」



いきなりの事に喉が詰まる。



知らない人に携帯を操作されていることにソワソワしながら見つめていれば、男の人のポケットから着信音が鳴り出した。



「はい、お姉さん」


「あ、ありがとうございます…」


「当てて」


「…え?」



戸惑う私をクスリと笑い、自分の携帯を耳に当てると、私にも自分のを当てるようにと指をさす。




「俺、伴城ばんじょうすぐるっていうんだ。お姉さんの名前は?」




機械越しと二重で聞こえる相手の声。




「名前言って」


「あ、えっと、春田はるたあや、です」 




名前を告げた瞬間、通話がブツリと切れる。




「俺の声携帯から聞こえたよね?良かった、壊れてなくて」


「そ、そうですね…」


「じゃあ、また。バイバイ」




訳が分からず呆然とする私をよそに、伴城優と名乗ったその人はさっさと居なくなってしまった。

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