第2話

通い始めて徐々に仲良くなった奥山さんに、メニューを指差して見せる。




「今日は夏限定チーズケーキと、ミルクティーをお願いします」



「うん。待っててね」




笑顔でキッチンへ行った奥山さん。



一人になってすぐバッグから本を取り出す。



私はこのカフェで、本を読みながらゆっくり過ごすのが大好き。店内に小さく流れるBGMが心地良く、仕事の疲れなんて忘れてしまう。





…ん?



ふと感じた視線に、席の左側にある小窓へ目を向ける。少しつたの絡むそこから見えるのは、帰宅を急ぐ人や楽しそうに歩く学生さん達。



だれもこちらを見てはいなかった。




「綾ちゃん?」


「あ、はい!」



横から聞こえた声に視線を店内へ戻すと、小さなトレイを持った奥山さんが不思議そうに立っていた。




「外に何かあった?」


「あ、いえ!少しぼーっとしてて…」


「はは、そっか。はい、ケーキとミルクティーどうぞ」


「わぁ…ありがとうございます」




見た目もお洒落なケーキについ声が溢れると、奥山さんは優しく笑った。

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