"キャラクター作りの話"



**おおまかなキャラクター作成の概要**


キャラクターというのは物語の花形です。

シナリオを作ると必ず一人は登場させるはず。


短編なら一人から三人ほど。

長編だと多くて二十人、三十人くらいは作らなければなりません。


まず知らなければならないことは、


"様々な性格のキャラクターを作らなければならないが、それは全て自分の分身である"


という事です。


どんな性格をしていたとしても自分が想像する範囲のキャラクターしか作ることができません。



**人間(作者)は多重人格である**


語弊があるかもしれません。


しかし人間の中には様々な感情があり、心の中では相反するものがありますよね。


例えば"楽しさ"や"怒り"、"善"と"悪"など。

正義感はあれど、怒りから他人を傷つけるような考えが浮かぶ時もある。

また、勉強しようと思う自分もいれば、めんどくさいと思う自分もいたりする。


極端な話をすれば犯罪を犯す者が自分の妻子を愛するなどの、ある意味、矛盾した感情があったりしますが何も不思議なことではない。


人間の中には様々な自分がいる。


なので小説においても破綻しない程度の性格の矛盾はキャラクターに深みを持たせることができる要因でもあります。



**特に掘り下げて設定すること**


キャラクターのことを、とにかく掘り下げて設定する方もおります。


"キャラクターの履歴書を書けるくらい考える"


というのが、おもにシナリオを学ぶ学校で教わることでしょう。


しかしキャラクターの履歴書を書けるくらいとなると、物語の長さによっては膨大な時間を要します。

なにせ長編は無数のキャラクターを登場させることになりますから。

いきなり考えたキャラクターを出す、ということもしなければならない時がありますよね。


この時、最も掘り下げて考えてほしい設定があります。


それは"ポジティブ"と"ネガティブ"です。


これを設定することで魅力的なキャラクターが簡易的に作ることができるのです。



**ポジティブとネガティブについて**


これは一体どういうことなのか?


簡単に説明すると、


"得意"、"不得意"

"優越感"、"劣等感"


となります。


これらの事柄を作るキャラクターに当てはめていく。


簡単に設定すると、


○得意、不得意

勉強が得意。

運動が苦手。


○優越感、劣等感

人を助ける事で満たされる(優越感)

恥ずかしがり屋で特に女性が苦手(劣等感)


と言った具合に"身体的な優劣"と"感情的な優劣"を簡単に決めておくのです。

これはキャラクターの行動理念に直結し、やりたい事、やれる事、やれない事、やりたくない事を明確にしていく狙いがあります。


運動が苦手なキャラクターがいきなり戦闘で活躍したら違和感がありますし、女性が苦手なキャラクターが異性と難なく会話するのもおかしい。


逆に"戦闘の天才だが、争いが嫌い"などの得意不得意と優劣感が真逆で矛盾しているものはストーリーに深みが増すのでオススメ設定です。

ドラゴンボールの孫悟飯がそうですね。


少しでも個性を出すために、この"ポジティブ"と"ネガティブ"を設定しておくと簡易的にでも深みのあるキャラクターが生まれるのです。



**キャラはどこまで作り込むべきか?**


最後にこちらの話をしたいと思います。


結論から言いますと、私の考えではキャラクターを作る際は深掘りはしすぎない方がいい。


よくキャラのパラメーターを細かく設定したり、年齢、身長、体重、趣味、好きな食べ物とそれこそ履歴書を書けるほど考える方がおります。


それはそれで深みのあるキャラクターが完成しますが、その設定によって身動きが取れない状況になったりすることがある。


物語を書いている途中でキャラクターとストーリーがミスマッチを起こして破綻したり、決めてしまったことによって変更したくてもできないこともあったりします。


なので、有名な漫画の『鋼の錬金術師』の作者である荒川弘先生もストーリーに関係する大事な事以外は、ほとんど設定しないという手法をとっているようですね。


"主人公の誕生日"


ほぼこれだけ。

これだけは物語に影響を与えるので設定している。


私が推奨するキャラクター作りも同じです。


①キャラはできるだけ簡易的に作成して身軽にし、ストーリー上で動きやすく、変更しやすくする。


②設定するのは物語に直結する大事な事柄のみ。


③時間を掛けて考えるのは細かいキャラパラメーターではなく、"ポジティブ"と"ネガティブ"。


この三つで十分、魅力的なキャラクターは作れますし、書くのに大変な長編でも時間を掛けずに取り掛かれると思います。


不必要なことを考えるのは後からでもできますので、まずはこの三つを重要視していくといいでしょう。

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