#23 新たな次元へ

全員「é4clatのStargazing」


冬羽「引き続き、生放送でお送りしております。é4clatのStargazing。

 パーソナリティの霜月しもつき 冬羽とわと」


夏樹「天倉あまくら 夏樹なつきと」


玲「宮秋みやあき れいと」


日向「春風はるかぜ 日向ひなたです」


冬羽「そろそろエンディングの時間が近付いてきましたが、ここでリスナーの皆さんにé4clat(エクラ)から重大発表があります。

 では、夏樹。発表をお願いします」


夏樹「おう! 任せとけ。じゃ、発表されてもらいます。この度、é4clatは」


 (ドラムロールの効果音が流れる)


夏樹「3D化が決定しました! よっしゃ」


日向「やった〜、って夏樹くん喜ぶの早すぎ」


玲「そう言う日向も、台本上では夏樹の発表の後に歓喜のSEが入ってから話す筈だ」


日向「わ。そうだったね。ごめんごめん。

 それじゃあ、歓喜のSEどうぞ」


 (歓喜の効果音が流れる)


冬羽「はい。夏樹からの発表があった通り、é4clatメンバー全員の3D化が決定しました。お披露目日時の発表につきましては、もう暫くお待ちください。ということで、ここからは意気込みなどをお話ししていきたいと思います。

 まずは日向。3Dになるって聞いた時、どう思った?」


日向「葵斗くんから聞いた時から、ずっ〜とウキウキ気分。だって、念願のダンスがやっとお披露目出来るんだもん」


冬羽「日向、デビューした時から言ってたよね。早く皆んなにダンスを見せたいって」


日向「うん。ダンスは僕の好きなことで特技だからね。夢が叶って本当に嬉しいよ。

 3Dお披露目に向けて、これから沢山レッスンして、みんなにもカッコ良くて可愛い僕を魅せてあげるから、ワクワクしながら待っててね。

 お次は玲。今のお気持ちをどうぞ!」


玲「あぁ。3D化も嬉しいが、まずは改めて、チャンネル登録者数10万人。感謝する。

 活動を始めてから1年も経たない内に10万人と3D化を果たすことが出来たのは、事務所の先輩方が築いてきた歴史、そして、ひとえにリスナーの皆からの多くの声援、支援があってこそだ。この点については感謝してもしきれない。

 今後、3D化をすることでリスナーの皆には伝えずらかった表現が伝わるようになり、イベント出演の機会も増えるだろう。これに関して、我々にとって非常に有り難いことではあるが、一部のリスナーの中には、もしかしたら『遠くに行ってしまった』と不安に思う者もいるかもしれない。

 しかし、心配は無用だ。俺は……俺達は高みへ昇っていくことはあっても、離れていくことは無い。いつでも心は、皆と共にある。このことをどうか覚えておいてほしい。以上だ」


日向「珍しく語るね〜、玲くん。だ、け、ど。次に話す冬羽ちゃんが可哀想だと思わない?」


玲「それは──」


冬羽「私は大丈夫。寧ろ、玲が言ってたこと、きっとリスナーさんも聞きたかったと思うから」


夏樹「そうだ。玲、ありがとな」


日向「夏樹くんまで、そんなこと言っちゃって。じゃあ、そんな優しい冬羽ちゃん。コメントお願いします」


冬羽「うん。改めて3D化決定、ありがとうございます。

 ここだけの話、チャンネル登録10万人達成が3D化の条件でした。そして、お気付きの方もいると思いますが、ユニットメンバーの中では私が最後で、メンバーと先輩方に心配や迷惑をかけてしまったと思っていますし、視聴者さんにも気苦労をおかけしたと感じています。すみませんでした。

 でも、遅くなってしまった分、お披露目の時には更にパワーアップした姿をお見せ出来たらと思います。そして、このラジオで私達を知ってくださった方にこそ、今後の3Dになった姿を見ていただきたいです。このラジオで得たものを含めて、素敵な時間をお届け出来たらと思います。

 少し長くなってしまいましたが、これからもé4clatとプロジェクトへの暖かいご声援のほど、よろしくお願いします。では、最後に夏樹」


夏樹「おう。3D化、すげぇ嬉しい。これからもよろしく!」


日向「……それだけ⁉︎ 冬羽ちゃんは、あんなに語ってくれたのに?他には何か言いたいこと無いの」


夏樹「うーん。そうは言っても、大体お前達が伝えてくれたからな。そうだなー。

 あ。あった。いつもオレ達の声を聴いてくれてありがとな。これからも、お前達の応援と期待に応えてみせる……こんな感じでいいか」


玲「さっきよりは、まだマシだな」


日向「いいんじゃない。ね、冬羽ちゃん」


冬羽「えっと。ありがとう」


夏樹「なんだ。その反応は。ちゃんと伝えただろ」


日向「だって、いっつも、The リーダーって感じなのに変に突き抜けているというか、何というか……。こんなにカッコ良く決めちゃってさ。ホント、そういう所だよね〜」


夏樹「そういう所って一体どうい……」


冬羽「あっ、もう終わりの時間だそうです。

 本日は生放送、お楽しみいただけましたでしょうか。来週は通常通り、収録での放送となります。また、コーナー宛てのメール、感想もお待ちしております。宛先は概要欄に記載してある投稿フォームからお送りください。

 以上、『é4clatのStargazing』。本日のパーソナリティを務めたのは霜月冬羽と」


夏樹「天倉夏樹と」


玲「宮秋玲と」


日向「春風日向でした」


全員「またね」


* * * * *


「話を途中で終わらせるなー」


「しょうがないよ。スタッフさんから締めの指示出てたでしょ。

 それにしても冬羽ちゃんの今日のMC、一段と冴え渡ってて、良かったよ」


「ありがとう。ごめんね、夏樹。もっと上手くオチを付けれたら良かったんだけど」


「いや。あれはあれで良いオチだっただろ」


「オチって、そんな風に片づけるなよー」


 ラジオでは久しぶりの4人回。緊張しながらも、何とかMCをやり遂げた私は、どうやら扱いに納得していない様子の夏樹を微笑ましく思いながら、放送終了後の賑やかな雰囲気を過ごすのだった。

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