第19話 胎児の中に入れ変わってしまったら・・
「今までのあらすじ」
私の名前は愛衣(あい)、女性。昭(あきら)と結婚している。
この世界は科学技術が発達していて、AI(人工知能)に支配されている。何をするにもAIにたより過ぎているのだ。
この惑星にはいろいろ問題があってAIに支配されている事や気温がとても人間が生活できるレベルにないくらい寒かったりする。この生活で今後も人類が生活するのは難しそうだと愛衣は思った。
愛衣は大統領のZ(SNS)のポスト(投稿、つぶやき)に自分の意見を書き込んだ。すると、愛衣の書き込みを参考にしたのか偶然なのか大統領は人間の心だけを他の宇宙の人間が住める惑星に移動させるというとんでもない事をする計画を発表した。試験的に何人かの人間を他の惑星の胎児の中に送り込む事も発表して、愛衣はそれに申し込んだのだった。
「第19話 胎児の中に入れ替わってしまったら・・」
人間の自我はいつ芽生えるのだろうか。1歳半からくらいからと言われているが、もっと早い気もする。この事を考える前に、自我の言葉の定義をその前に確認した方が良いだろうか。「自我とは、哲学で知覚、思考、意志、行為などの自己同一的な主体として、他者や外界から区別して意識される自分」という事らしい。他者と自分が違う存在だと分かるようになる事のようだ。もし、自分の体が乗っ取られて他人の物になるとしたら、自我が芽生える前が良さそうだ。生まれる前に母親のおなかの中にいる時に、他人の人間の心(魂)を母親から生まれる前の胎児の中にいれれば、体を乗っ取られてた事を胎児は気付かず、問題ないのかもしれない。
大統領の計画は、他の宇宙の人間が住める環境の惑星に人間の体を移動させるのは不可能にちかいので、心だけを胎児に移動させるというものであった。そんな事がこの惑星の今の科学技術でも難しそうではあるけど、大統領の周りの科学者の科学技術を使えばできるのかもしれない。それでも道徳的な問題は残りそうだ。そんな事が許されるのか。母親には胎児の心が他人の心が入っている事を教えるのだろうか。そんな事を教えて、母親が納得できるとは到底思えなかった。もちろん、こちらの事情をくみとってくれる可能性もないこともない。
「これってもし実現できるものだとして、記憶とかはどうなるのかしら」愛衣は昭にきいた。
「大統領の話によると、記憶は全て消すらしい」昭はこたえた。
「記憶が消されるんだ!私、申し込んじゃったけど、やっぱりやめようかな」愛衣はちゃんと説明文を読んでいなかったようだ。
「まあ、当選しない確率の方が高いから、それは当選した時にまた考えれば良いんじゃないかな」昭は愛衣に優しく言った。
「そうね・・。申し込みも多いから、どうせ、落ちるし・・。そんな心配もしなくて良いか・・」
「記憶を消さないと、生まれた時から大人で会話したりできて、問題が多いから妥当な判断だとは思う」昭は言った。
「そうね・・。推しのなんとか・・みたいな状況になるもんね。あれは、記憶あるけど漫画の世界だから、どうにかなっているけど、現実になったらとんでもない事になりそうね。大人が赤ちゃんになって生活するのは相当難しそうね」愛衣は漫画の内容を思い出しながら言った。
(続く)
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