第20話 まさかの抽選結果

 「今までのあらすじ」

 私の名前は鈴木愛衣(あい)、女性、工学部航空宇宙工学科の学生である。今井昭(あきら)と結婚している。昭はAI(Artificial Intelligence)(アーティフィシャル インテリジェンス)の研究をしている。

 ここは科学技術の発達している世界でこの惑星の名前はアース星と呼ばれている。この世界はAIに支配されていて、何をするにもAIに頼りきっている。人間たちは自分の頭で考える事をどんどんしなくなってきている。そして、この惑星は今後、人間が生活するには寒過ぎるという環境面にも問題があった。愛衣は大統領に違う惑星に移住した方が良いのではないかという提案を大統領のSNS(Z)に書き込んだ。

 すると大統領は愛衣の意見に賛同したのか偶然なのか他の宇宙の他の人間が生活できる惑星に、人間の心(魂)だけを胎児に移動させるというとんでもない発表をした。実験的に世界中の人から抽選で数人、惑星に送り込む事を発表した。

 愛衣はそれに申し込んだのだった。


 「第20話 まさかの抽選結果」

 「当たった・・・」愛衣は驚きながら昭に言った。

 「えっ・・・」

 「大統領の言っていた他の宇宙の惑星にいくやつの抽選に当たった・・・」自分でも信じられないと思いつつ、ゆっくりと言った。

 「実は自分もなんだ・・・」昭は言った。

 「えええ!昭も申し込んでいたの!しかも2人とも当選だなんて・・・」今度は愛衣がびっくりした。

 「1人が当選する確率も相当低いのに、2人とも当選だなんて・・・。ありえない程、奇跡だね!」愛衣は言った。

 「どういう事なんだろうか」昭はありえないという顔をしている。

 「わからない・・・」愛衣は素直に言った。

 「何か悪い予感がする」昭は少し怖い顔で言った。

 「確かに、偶然にしては出来過ぎてるね」

 「なにか、意図的に当選させたような気がする」昭は何が既に、みぬいているのかもしれない。

 「うーーーん。そんな事はありえなさそうだけど、現実で起こってるからね・・・」

 愛衣はそう言って、しばらく黙った。

 その後、急に思い出したように言った。

 「そう言えばなんで、昭は抽選に申し込んだの?」

 「それは、愛衣が心配だったからに決まっているじゃないか」昭はきっぱりと言った。

 「やっぱり、そうなんだ」愛衣も質問する前から昭が申し込んだ理由の想像はついていたようだった。

 「心配させちゃって、ごめんね。もちろん少し不安だったけど、好奇心が抑えられなくて申し込んじゃった。他の宇宙の他の惑星に行けるなんて夢みたいだもん。こことは、全く違う世界なんだろうな。そう思うとワクワクしちゃって、いてもたってもいられなかったの」愛衣は目をキラキラさせながら言った。

 「君の性格はよく知っているつもりだから、その気持ちは分かるよ。だから、申し込もうとしている事を聞いた時も、止めはしなかった」

 「ありがとう。でも、向こうの世界では記憶が消せれるらしいし、もう2度と会えないかもしれないのが、寂しい・・・」愛衣は少し悲しそうな顔をした。

 「そうだね・・・」昭も悲しそうだ。

 「でも、なぜかどうにか会えるんじゃないかなと私は思うの」愛衣は今度は無理矢理笑顔を作って言った。

 「それはなぜ?」昭は聞いた。

 「なんとなく・・、そんな気がするだけ」愛衣は素直に言った。

 「愛衣はたまに科学的じゃない事を言うね。でも、それは君らしくて良いよ」

 (続く)

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