第15話 「夢の世界の事を知る人物との遭遇」
「今までのあらすじ」
私の名前は川原知人 (かずひと)、男性、大学で哲学を教えている。
そんな私は夜、同じ夢をみる。
夢の中では私は女性で名前も変わり、鈴木愛衣(あい)になる。工学部航空宇宙工学科の学生である。
「第15話 夢の世界の事を知る人物との遭遇」
私(川原)は夢から目を覚ました。最近、夢をよくみるけど、眠りが浅いのかもしれない。本当に体が疲れていたら、長時間、眠ってしまうはずだが、毎日あまり寝ていない。睡眠時間は3時間くらいだろうか。人によってロングスリーパーとかショートスリーパーとかいるらしいけど、もしかして私はショートスリーパーなのかもしれない。
私はいつものように大学で哲学の授業をした。今日の授業は哲学とあまり関係ない学部の学生に一般教養として、哲学を教えた。いつもわりと基礎的な哲学の話をしているが、いつもよりさらに基礎的な入門みたいな位置づけの内容を話した。
授業が終わった後、1人の学生が声をかけてきた。男性の学生だった。大学1年生なら浪人してなくて現役なら19歳だろうか。
「もしかして、愛衣(あい)なのか?」
「あい・・・・?」
私は何かきいたことある名前だなと思った。そうだ夢の中での私の名前だ。この時の私は本当に自分の事を呼ばれた気がした。夢の出来事をノートに忘れないうちに書いてそれを何度もみて憶えた内容としてではなく、本当に昔から知っている自分の名前のような気がしたのだ。
でも、おかしい事に気付いた。私の夢の内容を知っている人物なんているわけはなないのだ。私は聞き間違いか、相手の勘違いかどっちかだと思った。
「私の名前は授業の前にも話しましたが川原知人です。あいっていうのは誰ですか?」
私は学生にも丁寧に丁寧語で返事をした。
「君の名前だよ。もしかして憶えてないのか?」
憶えているけどそんな事を相手に話して良いのだろうか・・。
私は適当にごまかそうと思った。
「何の事ですか?」
「そうか・・・。やっぱり、憶えている方がおかしいのかもしれないな・・」
学生は頭をかきながら、困ったような顔をした。
「でも、絶対、君はあいだと思うんだよ。話し方とか仕草とか顔の表情とか同じで・・・。絶対、愛衣だと思う。愛衣だと思うから言うけど、私は愛衣の結婚相手だよ。」
その学生はとんでもない事を言ってきた。
周りに学生が少し残っていて「えっ!」みたいな声がきこえた気がした。
てゆうか私は夢の中で結婚をしていたのだっけ・・。
夢の中では工学部航空宇宙工学科の学生であるという設定だったはずだ。もちろん、社会人になってから大学に入りなおす人もいるので、結婚している人もいるだろう。数年前なら女性は16歳で結婚できるから間違いではないかもしれない。(今は18歳)
でも、夢の中では違うのかもしれない。
結婚していてもおかしくない。私は夢の世界の話なのでこの時ははっきり思い出せなかった。
普通の声の大きさで、特に大きな声で話していたわけではないが、他の人に聞かれたらやばい内容だ。だって、私の今の性別は男なのだ。相手の学生も男。男同士で結婚している事になってしまう。中には男同士で結婚する人もいるらしいが、私はそんな考え方はしていない。しかも年齢もひとまわり以上違いそうだ。もちろん、この世界での年齢の話だ。
私は夢の話を相手にしようかどうか迷った。もし本当に夢の中で結婚相手なら、
話しても良いのかもしれない。しかし、偶然、夢の中での私の名前を当てずっぽうで当てただけかもしれない。ここは慎重にならないといけないなと思ったのだった。
(続く)
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