第11話 夢の世界と現実世界の違い

「今までのあらすじ」

 私の名前は川原知人(かずひと)、大学教授で学生に哲学を教えている。

 そんな私は夜、同じ夢をよくみる。夢の中で私は女性で名前も鈴木愛衣(あい)に変わる。工学部航空宇宙工学科の学生である。

 夢の世界は科学技術が発達していて、この世界とは何かが違う気がする。

 そんな私(川原)は、夢の世界へ現実世界から行けるような気がして、行く事にしたのだった。


 「第11話 現実世界と夢の世界の違い」

私は駅の西側の海のみえる丘へ行った。

ここは夢で見た場所なのだろうか。もちろん絶対違うに決まっているのだが、曖昧(あいまい)な夢の記憶を必死に思い出そうとした。

何かが決定的に違う気がした。何だろうか。考えるまでもない気がした。何もかも違うのだ。例えば、こっちの世界は太陽は1つだが、向こうの世界では2つ。気温も全然違う。こっちは平均気温15℃だが向こうの世界ではマイナス180℃だ。海もこっちは水だが、夢の世界ではエタンである。違う部分なんてたくさんあるではないか。でも、共通の部分も多く私にはそっちの方が不思議に感じたのだった。


 夢の世界は科学技術が発達しているから、こっちの世界と同じように快適に生活できているが、冷静に考えればとても住めるような環境ではなかった。気温がマイナス180℃なんて人間が生きていける環境ではない。


 夢の世界でアメリカ人とか中国人とかと会話する時に、最新の技術で同時通訳されてしまうのも私には受け入れ難(がた)かった。なぜかというと、こっちの世界で一生懸命、英語とか中国語とか勉強してきたのに、向こうの世界では何も語学の勉強をしてこなかった人でも会話ができてしまうからだ。私の今までの苦労は何だったのだろうか。語学の勉強なんて意味はなかったとのかと思ってしまう。


 夢の世界で空中を歩けるのも便利ではあるけど、「しっかり地面に自分の足で歩きたい」と私は思ってしまうのだ。しっかり大地を踏みしめたいのだ。


 便利過ぎる世界は人間を堕落(だらく)させる気がする。自分の頭で考えなくても、スマホでAIを使って、答えが出せてしまう。こっちの世界でもAIは最近、使われ始めた。有料版だと精度はもう少し高いのかもしれないけど、無料版のAIだとだいぶ情報の精度が低く、間違った情報が表示されてしまう。しかも、本当っぽい感じで上手くまとめてくるので余計たちが悪い。本当の事なのか、嘘なのか意外に判断がつかないのだ。私は最近、AIの答えが信じられなくなったので、Googleで正確な情報が掲載されていそうなサイトをさがして情報をみたり、情報が正確そうな本をさがしたりしているのだった。


 「私は絶対にAIにたよらない」ように生きていこうと考えている。


(続く)

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