第6話 AEDの使い方ってどうやるの?
私の名前は川原 知人(かわはら かずひと)、男性、大学教授で大学で哲学を教えている。そんな私はよく夜に同じ夢をみる。
夢の中で私は女性で名前は、鈴木 愛衣(すずき あい)、工学部航空宇宙工学科の学生である。夢の世界は未来の世界っぽいところで船が飛んだり、空中を歩けたりする。
今、私は夢の中の世界で視聴者参加型ドラマという訳の分からないものをやっている。私は部屋の中で倒れている女性を発見した。私は犯人役かもしれないけど、どうすれば良いか悩んでいるのであった。
「第6話 AEDの使い方ってどうやるの?」
私は目の前で倒れている人を助けたいと思った。それが、ドラマの「設定」だとしても、目の前で人が死ぬのは嫌だ。私は昔、小学生くらいの時に学校でAED(Automated External Defibrillator)(自動体外式除細動器)の使い方を習ったのを思い出した。自動体外式除細動器は、「けいれんした心臓を電気ショックで一時静止させ、通常の拍動の再開を促すもの」である。
私は昔の記憶を必死に思い出しながら、「大丈夫ですか?」と倒れている人に声をかけた。しかし、反応はない。
次に誰か周りに人がいないか周りをみたが、さっきもさがしたがいなさそうだ。
私は呼吸を確認した。呼吸しているような気もするし、していないようにも感じる。正直、よく分からなかった。
本来、「呼吸の有無が判断できない場合は心停止と判断し、心肺蘇生をはじめる」べきなんだろうけど、医療従事者でもない私にそんな判断はできなかった。
「心停止」していたら「胸骨圧迫(30回)+人工呼吸(2回)を繰り返し実施」する必要があるらしいけど、人工呼吸とか相手が同性でも無理だ。恥ずかしい。
どうしたら良いか分からず、途方にくれていたら、相手の服に「AEDっぽい何かを表す単語」が書かれたボタンがついているのに気付いたのだった。
そうだ。ここは未来の世界っぽい感じの世界だった。普通の現在の世界の自動体外式除細動器の使い方とか知っていてもあまり意味はない。てゆうかこの小学生の時の自動体外式除細動器について習った記憶も偽の記憶かもしれない。何かこの世界にあるのかどうか知らないけど動画配信サイトYouTubeとかでみて、習った気になっているだけかもしれない。
胸のボタンを押すと「心肺蘇生開始」の表示が自分の視界の左上に表示された。どうやら、「心停止」していたらしい。未来の世界っぽい所だから、勝手に心肺蘇生されるようだ。言っちゃ悪いが何でもありの世界なのかもしれない。
何らかの方法で自動で心肺蘇生されて、次に「電気ショック」の指示があり、電気ショックが自動で開始された。普通ならAEDのふたを開けて、音声ガイダンスに従い、電極パッドを右胸と左脇腹に貼り、心電図を調べて、電気ショックの必要かどうかの有無を調べる必要があるが、この世界では不要でなのだった。
電気ショックが終わり、倒れていた女性は意識が戻った。
「あれ、私はどうしたのかしら・・。」
倒れていた女性が言った。
「この部屋に倒れていましたよ。」
私はそうこたえた。
「あなたは、どなた?」
倒れていた女性が私にきいてきた。
「いや・・・、私もよく分からない。ドラマの設定とか事前に教えてもらってないし・・・。」
「私も知らないや。」
倒れていた女性も困惑しながら言った。
どうやらセリフも細かい設定も全部アドリブでやるっぽい・・。
何だ。このドラマ・・・。脚本を書いた人は三流か。
「脚本を書かれた方もランダムで決定しています。」
私の視界の左上に文字で表示された。
脚本を書いた人もたぶん素人(しろうと)ぽかった・・。
「なんなんだ。この状況・・・。」
私は頭をかかえたのだった。
(続く)
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