第5話 夢と現実世界の違い
「今までのあらすじ」
私の名前は川原 知人(かわはら かずひと)、男性、大学教授である。大学では学生に哲学を教えている。
そんな私は夢をよくみる。その夢の中では私は女性で名前は鈴木 愛衣(すずき あい)、工学部、宇宙工学科の学生である。
夢の中の世界は科学技術が発達していて、未来の世界っていう感じなのであった。
「第5話 夢と現実世界の違い」
鈴木愛衣は、体がふわふわしている感じがした。半重力で空中を歩く事はできるのだが、そもそも重力が小さい気がするのだ。何にくらべて小さいかは、今の愛衣には分らなかった。愛衣の記憶はこの世界のものしかなかった。仮に別の世界の重力を1とすると、この世界の重力は3/4くらいである。しかし、愛衣の記憶はこの世界のものしかないので、漠然(ばくぜん)と何か重力が小さいような気がするだけだった。
そして、愛衣が1番、違和感を感じたのは太陽が2つある事だった。太陽って1つだけしかなかったという、かすかな記憶があったのだが、この世界には太陽が2つあったのだ。まるでスターウォーズの映画に出てくる惑星のような光景だった。愛衣は「太陽って互い周りを回る連星なんだ。」と思った。でも、何でそんな当たり前の事を今、気付いた大発見のように感じるのか不思議にも思ったのだった。
話は変わるが、この世界は科学技術が発達していて、ドラマとかゲームの世界に入る事ができるのだ。ドラマは目の前で起こっているよう体験ができる。例えば、俳優がドラマの中で演じるような事が、自分に置き換わり、自分がその役になったようになるのだ。
私はドラマの世界に入りたくて、実際にやってみる事にした。
今回のドラマはミステリーとかサスペンスとかそんな感じのドラマだ。
自分がどの役になるかはたくさんいるドラマ参加者からランダムで決まり、自分で選ぶ事はできない。ドラマの内容も事前には教えてもらっていない。私は、ランダムで役が決まり、ドラマが始まった。
私は部屋の中にいた。そこそこ大きい部屋でベットが1つあった。周りには大きな本棚が1つあった。わりと大きめのテレビもあり、窓が1つあった。自分の後ろにはドアが1つあった。
私は「この部屋、わりと広いなあ。」と思いながら、部屋の周りをぐるっと見ていると自分の足元に1人の女性が倒れている事に気が付いた。
私は一瞬びっくりしたがすぐに冷静になって倒れている人に声をかけた。
「大丈夫ですか?」
しかし、倒れている女性の返事はなかった。息をしているか確認してみた。医学の専門家ではないので、よく分からないが息はしてなさそうだった。私は、急いで心臓が動いているか確認した。動いてなさそうだった。たぶん、止まっている。私はあわてふためいて、周りに誰がいないかみたが、誰もいなさそうだ。私は、AED(自動体外式除細動器)がないか、さがしたが見つからなかった。
私は、どうしたら良いのか必死に考えた。冷静になると、ここは視聴者参加型ドラマの世界だ。このドラマの世界の人が死んでも、リアルの世界の人間が死ぬわけではないのだ。それに、もしかしたら私は「犯人役」なのかもしれない。犯人役の人が人を助けたら、他の人に迷惑がかかるかもしれない。私はどうしたらいいか分からず、途方にくれたのだった。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます