第7話 魔法がある?!
1秒かそれ以上か。急に歩き出したと思ったら、横に勢いよく倒れるブル。その反動で地面に投げ飛ばされた。
ようやく終わったのか?
確認してみれば、ブルは白目を向いて泡を吹いている。倒れる寸前に吐き出した毒霧はその場所に留まっているが、いつか風にさらわれてどこかに消えるだろう。
さて、この死体はどうするか。処理の仕方を知る者がいればいいが。
「ありがとう、アーロ君。私、逃げてばっかだった」
「そうか。まぁ、気にするな」
アレシアが落ち込んで俯いているが、
「この後どうする」
「……この後?」
「そうだ。ずっとこの場所にいるわけにもいくまい」
「街に行くよ」
「そうか」
すっかり夜になってしまった。今日は平原で野宿だ。食事するものは何もないが、焚火の準備しておかなくては。暗いとどうも足元が見えなくなって動きづらい。
「夕暮れ時に見えていたあれは街なのか?」
「そうだよ」
遠すぎてぼんやりとしか見えないが、揺らめいているのは火なのだろう。現代に比べればまだまだ暗いが、それでもなんとなく街の形は見える。
「なら明日……と思ったが、その怪我では難しいな」
案内してもらおうと思ったのだが、アレシアが私を助けてくれた時に負った怪我で、逃げた場所から全く動いていなかった。
動こうとしたからその場所にいさせて、自分は枝と石を集めた。
比較的枝分かれしていない枝を使って火を起こす。野宿用の焚き火一式も向こうに置いてきてしまった。火おこしは枝を両手で挟んでこすり合わせて回転させるやり方しかできない。
「なかなかつかないのが難点だな……」
暗くて見えずらいが、木が
悪戦苦闘していると、急に焚き木に火が付いた。思わず肩が跳ね上がってしまった。いったい何が起きた。
「これで火が付くよ」
「今なにをした?」
「魔法でつけたんだよ」
アレシアの指先が焚き木に向いている。魔法の存在は知っているが、ここと元の場所では何が違うんだ。なにかを
いつも怪物たちを倒している森でたまに魔法を使うやつと遭遇するが、あの森の中は魔素で構成されている。そしてあの場所限定だ。
アレシアは何故なにもないところから魔法を出せた?
「……魔法は誰でも出来るものなのか?」
「簡単な生活魔法なら誰でも出来るよ」
生活の中に魔法が使われているのか? この世界では化学ではなく魔法が生活を支えているのか。
アレシアは『簡単な生活魔法』というが相当な力がないと魔法は出せないものなのだろう? それともここでは当たり前なのか?
これは街に行ったときに見てみるのが一番いいだろう。
これからのことをと思ったのだが、体に引っ張られているのかいつもより早く眠気が襲ってきた。今何時くらいか分からないが、早い段階で眠けが来たのはいつぶりだろうか。銃を持つようになった前ぐらいだろうか。それなら10年以上も前の話だな。
ああ、眠い。まぶたが重くなってきた。
「火は私が見ておくから寝てていいよ」
「かいぶつが、きたら、どうするんだ……」
「なんとか頑張って倒すよ」
自分でも分かるほどに頭が重い。頭が地面にぶつかってしまうのではないかと錯覚してしまうほどに舟を漕いでいるのも分かる。
なんだ、頭を撫でられている?
やめろ、それいじょうすると、あらがえなくなる……。こんごのことを、かんがえないと、いけないのに……。
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現代軍人、異世界いったら呪いでショタの姿に?! やさか @yasaca1
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