ゆるされていない

落ち葉はやがて土になる

　夏がすべてを多いつくしてしまった。

　それでも紅葉（こうよう）は見られたらしいので自然は人間よりもよっぽど頭が良いのかもしれない。

　もうあきらめかけていた。

　同じ幸せを同じ仲間とかこって仕事以外で適当に過ごすことがみなの最適な居場所探しらしい。

　労働（ろうどう）も奴隷（どれい）も家族もいやだ。

　それは共感（きょうかん）しているつもり。

　だがその他（た）大勢（おおぜい）は｢なんとなく孤独が嫌なだけ｣だと気がついてしまった。

　私の前ではふるさとを捨てているのに。

　頭の良さや優劣（ゆうれつ）なんて人間の前ではなんの意味を持たないことをやっと知った気がする。

　分からない事ばかりだから決めつけないけど、みんな落ち葉なんてなりたくないのかもしれない。

　枯（か）れるだなんてとくに。

　だから哲学や仏教は苦手だ。

　時代じゃないから趣味にとどめておきたい。

　すべて枯れた木から落ちた葉っぱが教えてくれているのに。

『人間の限界』について。

　ゆるされていない。

　苦痛（くつう）を共感（きょうかん）しあう。

　これ以上、同じことをくりかえしていくのが人間なら私ははやく落ち葉になりたい。

　人間も落ち葉もたおれればダンゴムシやシデムシが片付けてくれる。

　もう二度と人にも木にも産まれないようにするために、今日も私は紅葉を見に行った。

　結果は聞かないでほしい。

｢ああ、もう地球からおりてしまいたい｣