各地の特産品
「うむ・・・これは美味い!!戦場でこれ程の飯を・・・いや・・・今生味わった事ない飯である!」
「兄者!我らが食らった事のある肉とだいぶ違うようだな!?なんとも言えぬこの味・・・」
「「ハフッハフッハフッ」」
真田ブラザーズは弟の問いには無視し、無言で口にかきこんでいる。謙信も頷きながら食べている。美味いだろう。そうだろう。
俺か?俺は未だ野菜と格闘中だ。本当にブロッコリーなんかこの世からなくなればいいとすら思う。いやそれは言い過ぎた。
見るからに森・・・苦い・・・苦手だ。
「とりあえずお代わりもあると思うので好きなように食べてください。ちなみにこの小雪は二条関白様から料理天下一の称号も貰っているくらいですので、今後もし食いたい物があれば機嫌が良ければ作ってくれるかもしれませんよ?」
「ほう。二条殿にそのような器量があるとはな」
「あら?謙信様は知っておられるので?」
「うむ。少し昔にな?それと、この酒は本当に飲んで良いのか?なんでも頭のけっかんとやらが切れるとか聞いたが・・・」
「いやそれは飲み方の問題ですよ。毎日、大量に塩で飲むとか言語道断!この世に美味しい物はたくさんあります。そうだな・・・越後なら鮭やノドグロなんかが有名だったな?」
「うん?鮭とは魚の鮭か?我が領にあれは居ないぞ?」
「詳しくは分かりませんが未来では有名だった気がします。新潟は行った事ないからな・・・小雪分かるか?」
「はい。鮭は越後の村上に流れる三面川に生息しているかと。そしてノドグロに関しては深海魚ですので荒波の日本海を航行できる人材を育ててからになるかと」
「そうか。まずは一歩ずつからだな。謙信様?これは追々あなたの城にて指南しましょう。ノドグロと呼ばれる魚は煮付けにすればこの牛丼にみたいに今生味わった事ないと言えるくらい美味いと思いますよ」
「何がなにやら分からぬが従おう。我は教えてもらう立場だ。覚えは良い方だと思っている」
そりゃあな。今は正常に戻ったかもだけど元々サヴァン脳だったもんな。反則だよな。
「上杉様・・・被せるようで申し訳ない・・・」
「真田か。構わぬぞ」
「どうしましたか?」
「いや、先ほどより俄かに信じ難い話をしておりまするが未来で信濃はどうなっておりまするか?」
信濃は長野県だな。
「未来では長野県と呼ばれております。トウモロコシや茶が有名かな?後はなんて言っても蕎麦!昔長野の蕎麦食べた事あるんですが美味しかったですよ!」
「え!?蕎麦とはあの蕎麦餅や蕎麦掻の事で!?」
「それは初耳ですが同じじゃないかな?小雪?今のは蕎麦の料理の事だよな!?」
「えぇ。まだ、ザル蕎麦やかけ蕎麦は出てきてないかと思われます。一部地方では蕎麦切りが行われているやもしれません」
「だそうです!信濃のえっと・・・上田でしたよね!?真田郷に帰るのですよね!?蕎麦楽しみにしてますよ!」
「いや・・・大橋様を喜ばせられる場所ではないのですが・・・」
「そんな他人行儀にならなくて構いませんよ!もっとフランクに!!とりあえず真田さん達には期待してますからね!」
何故か真田ブラザーズ・・・まあ、後世で名前が残るのは武藤喜兵衛さんだが、その武藤喜兵衛さんに少し期待してしまっている。
ゲルテントは山程ある。そのゲルテントにもランクがあり、俺と小雪が寝泊まりするのは最高級のやつだ。広さ高さは申し分ない。ゲームで、初心者応援パックや1日一回無料で引けるガチャにてこういう物はよく出る。
主に野営や、サブミッション時の体力回復に差が出るアイテムだ。そしてその最高級ゲルテント(ベッド付き、ふかふか布団付き)の一つを謙信に渡した。口調こそ男だが、女性だ。いくら素性を隠したとはいえ、家臣の本庄さんと寝かすのはだめだからな。
別に本人が気にしないと言えば構わなかったが望月さん達に設営してもらってる途中に『これは1人一つ充てがわれるのだろうか?』と聞かれたため俺が気を利かした感じだ。
真田ブラザーズ?あぁ。このブラザーズ達も俺と同じランクにしてあげた。上げ膳据え膳だ。信濃の山には資源が豊富な山が多いからな。ニッケルや銅など色々他にも欲しいからな。
さっそく次の日書状と共に、信玄の遺体、秋山信友を乗せ甲斐に向かう。こちら側は、俺、小雪、佐助、信治さん、真田ブラザーズ、上杉謙信と本庄さんだ。数名だが家康さんの兵を付けてくれた。大久保忠世さんだ。渋く頼りがいのある人だ。
「なんと!?このような大きな空飛ぶ鉄まで持っていたのか!?」
「えぇ。他にもまだありますが見せる事がなければいいですがね」
謙信が驚くように言ったので、俺は更に脅しをかけておく。二度とこの人とは戦いたくない。まあ大丈夫だろうけど。
一晩で変わったのは真田ブラザーズだ。まず明らかに口調が変わった。昨晩出した食べ物、酒、菓子。そして簡易だが布団にベッド。これに陥落したようだ。
「戦場にてあのような快適さを味わったのは初めてです。今後ともよろしくお願いお頼み申す」
と、朝一から言われたのだ。ただ、どうしても本拠の信濃を捨てる事ができないため俺の元に居るのは最初から名指しで探していた武藤喜兵衛さんだ。
ただ、残念?ではないが、喜兵衛さんが真田姓になる事はないかもしれない。長篠は恐らく起こらないし今は武藤何某の養子だから武藤姓を継ぐだろう。だから武藤昌幸になるのかな?まあ別にいいや。
程なくして発進する。操縦は佐助だ。昨夜セバスチャンから電話があったらしくゲッソリしている。いったい何を話したのだろうか。
「暁様!皆々様方!発進致します。まずは信濃に向け、真田氏を降ろし、その後甲斐に向かいます」
佐助の珍しく綺麗な言葉にてツェッペリンは高度を上げ動き出す。言って、1時間くらいの飛行だ。
「「「「・・・・・・・・・」」」」
いや無言だ。なんでこんな無言になるのか・・・。
「ゴホンッ・・・・心配しなくとも落ちたりしないですから。真田さん?お土産はここに置いておきますので降りる時持って帰ってくださいね?とにかく家中を纏めてください。電話は使い方覚えましたか?」
「あ、ありがとうございまする。必ず・・・何かあればすぐに駆けつけてみせます」
「硬い!硬い!もっと今後は交流する予定なのでお願いします!続いて上杉様です。あなたは最初は甲斐に行ってもらいますがあなたにもお土産は用意しております。家臣の人達はお願いしますよ」
「あぁ。任されたし。しかしこのような空飛ぶ鉄があるならば何故最初から出さなかった?」
「え?それをすればただの虐殺者でしょ?俺は戦後の事も考えていたのですよ。次何かの関係で三河に来たら驚くでしょう。徳川様の領地の発展振りに」
ツェッペリンに乗る前に念を押されたのだ。
『城を・・・・建ててくれるのだったな?』
と言われたのだ。その予定だが確かな言葉の強さだった。一騎打ちも辞さないとの気持ちを感じた。だから帰ればすぐにとだけ答え、チョコレートを大量に渡し待ってもらう事にしたのだ。家康さんは甘い菓子に目がないからな。
そんなこんなですぐに信濃に到着。小雪がエレベーターを操作して見送った。
後日連絡をした後に信長さんと謁見だ。数分もしないうちに甲斐・・・躑躅ヶ崎館上空だ。歴史を感じる家々が並んでいる。一つこの信玄を褒めるとするならば・・・非常に道が綺麗だ。土だが整備はされている。
さて・・・謙信がどう話を纏めるかだな。
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