20号拠点
俺は三方ヶ原台地に来ている。昨夜は皆で飲んだ。家康さんも無礼講と言い飲んだ。まあこの時代の人達なら分からないでもない。俺でも戦車やらがないとチビってしまうだろう。雪もうっすらだが積もっている。
「寒いな・・・・」
「そうか?お主が用意した、だうんじゃけっとなる物でかなり温いぞ?それに足も草履ではなくぶーつだったか?これは最初こそ気持ち悪かったが慣れればかなり良い!踏ん張りも良い!」
「とりあえず佐久間様はどう見ます?」
「ワシならば支城は無視するな。どれ程連携が取れるか分からないが城攻めにあの武田、上杉が時間掛けるかと問われれば甚だ疑問である」
ジュルジュルジュル〜
「まっ、向かって来る敵を倒せばいいんだよな!それにしてもこのぜんざいは美味いな!」
「信治さん?一応戦場の下見に来てるのですよ!?」
「そう言ってもだな?奥方が作った物は美味いぞ?今度、野府にも教えてくれ!」
「(クスッ)畏まりました!店でも開けますか!」
到底、戦場の下見とは言えない一行はトラックに乗り整備されてない獣道とも言えるか分からない場所を走る。
「案外、高低差が多い場所がありますね」
「うむ。我が領土ながら決戦はこの場しかないと思うておる!地の利は我らにあろう」
「確かに高所は有利ですが時に不利にもなりますよ?特に空からは視認されやすい」
「確かにこれからは空も気を付けなくてはならぬのだな」
史実では空は気にしなくていいだろうから高所が圧倒的に有利だ。だがアパッチからは丸見えだからな。
「まあ、こんなもんでいいでしょう。所々高地がある場所に拠点を作りましょう。カモフラージュネットにて隠しておきます」
「そのかもなんとかってのはなんなのだ?」
「これは物を隠したりするのに良いのですよ。えーと・・・とりあえずここでいいかな?出でよ!20号拠点!」
バァァァーーーーーンッ
「「「「おぉ〜!!」」」」
この20号拠点とはよくある戦国時代の拠点とは違う。出した場所を中心に30メートルの四角形の囲いが出来上がり、およそ陣とは言えない家みたいなのが出来上がるのだ。しかも木でできた杭もあり、さながらファンタジー世界の【何々の村】みたいな拠点なのだ。
この20号拠点の素晴らしいところはまず、火矢を撃たれても燃えない。木も折れない。囲いの中は常に最適温度に保たれ、端にある小屋の中ならば住めるレベルなのだ。しかも井戸まである。
「なんだ!?なんだ!?」
「ふふふ。この20号拠点は懐かしいですね」
「うん?奥方殿も知っておいでで?」
「そうですね。かつて常陸の地にて・・・いや、縁起が悪いですしやめておきましょう」
あぁ。あの常陸で遊んでいた時の猛者(廃課金者)の襲撃の時の事ね。確かにこれから戦をするのにあの話は縁起が悪いな。大負けどころかほぼほぼ奪い取られたからな。
「とりあえず・・・ここにカモフラージュネットをかけて、このボタンを・・・酒井様?押してくれますか?」
「うん・・・押すのか?な、何もないよな!?」
いやいや登録者決めるだけでブルってんのか!?猛将の酒井さんがビビってるのか!?
「忠次?恐れておるのか?」
「ま、まさか・・・お、押しますぞ!!南無阿弥陀………」
いやいやマジでビビってるじゃん!
【登録完了致しました 登録者 酒井忠次】
「な、なんだ!?おばけか!?」
「いやはや酒井殿と言えば泣く子も黙る将と思っておったが・・・違うようであるな?」
「さ、佐久間殿!これは違う!断じて違う!」
「とにかく!!これでこのカモフラージュネットは酒井様の物です!この門の木にでも引っ掛けてくれます?するとたちまち俺達は見えなくなりますので」
「うむ。これでいいか?うん?普通に見えるぞ?」
「なんと!?囲いがなくなっておる!?どういう事だ!?」
「本当だ!忠次!?お主には見えるのか!?」
「え!?えぇ。まあ変わらないですが殿は見えないのですか?」
「これがカモフラージュネットの凄さですよ。登録者以外は認識することすらできません。というか、このネットを被せている間はこの囲いはない物扱いなのですよ。俺でも見えませんので。ためしにネットを除けてくれます?」
バサァーーーーーー
「おぉ!現れたぞ!?」
「とまあこんな感じです!これは酒井様の物になりましたので他の者は使えません。生き物に掛けたり自分に掛けても消えませんので悪さには使えませんからね?」
「いいのう?忠次は・・・・ワシも欲しいのう?」
いや家康さん・・・こんなキャラだったか!?しかもこれを登録すれば決戦時にわざわざここまで来なくてはならないのだぞ!?
とまぁ、拠点は30メートル〜100メートル四方の大きさまであり大小合わせて15程出した。それぞれ徳川さんの部隊長の人達を登録した。決戦時に急に現れる堅固な陣だ。ここで迎え撃つ。
「各拠点の中間には別に建物を置き、そこに物資を補充しておけば矢玉尽き水枯れと言う事はないかと」
「素晴らしい!だが大橋殿はどうするのだ?」
「俺と小雪、喜助は空から攻撃致します。これは演習でも見せません。武田に通じる者も居るかもしれないですので温存しておきます」
「温存すると・・・武田上杉相手にそれ程余力があるのか?」
「余力ではありませんがその兵器を出すと違う被害の恐れもあるのです。味方や領民の家々をも壊してしまうかもしれませんのであまり使いたくないのです」
「確かにそうですよ?ここは、三河国〜遠江国です。誰が治めていますか?」
小雪!?なに言ってんだよ!?さすがに徳川さんも怒るぞ!?
「ワシだ。確かに織田に頼りすぎだな。まずは一当て。一当ては徳川が。織田の兵はその後に後詰めにて」
「100点!我ら織田は信忠様こそ居れど援軍にございます。此度の軍の総大将は徳川家康様あなたです。見事我らを采配してください」
おちょくるかと思えば奮起させる口上か。よく言ったものだな。後は練兵だ。できる限り兵を強くしよう。
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