新たなる時代の幕開け

出陣

 「では織田様。行って参ります」


 「うむ。平手、佐久間を上手に使いこなしてみせよ!佐久間は頭でっかちじゃから文句は言われるであろうが中々に戦運びは上手い男じゃ」


 「はい。2人を無事お返し致します。次会う時は戦勝の報を携えてお会い致します」


 「ふん。小癪な物言いよのう?大橋には期待している。不足があればすぐに言え!将軍の軍をすぐに片付けてそちらに参る!奇妙!いや・・・信忠!入って参れ!」


 「はっ。失礼致しまする」


 「お主は、大橋に付いて学べ!此度の総大将は信忠お前だ!だがそれは名前だけと心得よ。戦のいの字も分からぬ内はでしゃばるな!失敗は恥ずべき事ではない!誰しも最初は失敗するものだ!佐久間ッ!平手ッ!」


 「「はっ!!」」


 「信忠を頼む。一端の男にしてやれ!大橋!お前は・・・いやなんでもない」


 この奇妙丸あらため、信忠君は一昨日元服したばかりだ。急な元服なためほぼ身内しか集まらなかったが本人も信長さんも構わないと言ったのだ。


 今回の上杉、武田との戦が終われば嫌と言う程来客が来ると予想している。


 とにもかくにもまずは浜松に向かおうか。徳川さんはまだ察知してないだろう。察知していれば電話預けてるからすぐに電話が来るはずだ。


 一方、約1000人の後詰め。史実なら間違いなく捨て駒と見られるだろう。だがこの1000人は後世ではまず間違いなく勇者と呼ばれるようになるはずだ。


 少なくとも織田家の伝記では名前を残すだろう。


 「とまあこんな感じの見出しでどう?」


 「クスッ!良きかと。ひと段落すれば太田様に此度の事を言いますね!」


 「お願いね」


 「大橋殿?よろしくお頼み申す!」


 「これまた、凄まじい装備ですね!?」


 「父上の初陣の甲冑、具足にございます」


 「カッコイイですね!大丈夫です!信忠様は軍配旗を振ってください!」


 「うむ・・・・」


 まあ信忠君も活躍したいだろうな。どこか美味しいところがあれば譲ろうか。


 那古屋に赴き船を出す。以前のような愚か者はもう居ない。むしろ河尻さん達が常駐してるからだ。尾張から移民も数人来ている。漁師町としていずれ名が上がるだろう。


 「おう!行くのか?」


 「はい。河尻様達も遠慮なく!」


 「あぁ。将軍を蹴散らしてくるさ!そっちも武運長久を!」


 「ありがとうございます」


 「暁様〜!!!」


 「うん?勘助か?どうした?」


 「お兄ちゃん!!」


 「おっ!のりちゃんか?どうした?よくセバスチャンが出してくれたな?」


 「勘助おじさんとならいいよって!」


 「そうか」


 のりちゃんが来た事で少し場が和んだ。本来なら身分の違いで農民でも下級の子供が俺に話し掛ける事なんか許されないと思うが俺はそんなつまらない事気にしない。


 「これ!持ってってほしいの!」


 「これはなにかな?」


 「私が一生懸命に作ったの!」


 「そっか!じゃあ船の上で食べるからね?ありがとうな?ちゃんとセバスチャンの言う事聞くんだぞ?勘助?帰りにこれで何か買ってあげてくれ」


 「畏まりました。才のある者は捕えてくださいね?人手が足りませんので!」


 「そんな余裕はないし、あの2つの家の忠誠心は高いから無理だと思うぞ?まあ行ってくる!」


 そう言って俺達は那古屋を経った。兵の人達は分散してもらっている。まあハズレの漁船に乗ってもらっているのだ。


 何日間軍事行動するか分からないから食料は余裕を見て・・・というか見すぎて1年間分くらいの米や味噌、はたまたお菓子なんか相当数持って来ている。


 今回は全員にセバスチャンが作った量産型のAK47擬(もどき)を分け与えている。そしてなぜか黒川さんのAKだけハートマークの刻印がされてある。


 誰が見ても黒川さん専用のAKだ。


 一方俺達、指揮官級は俺が出した最上型巡洋艦だ。これが1番小回りが利き且つ、カッコイイのだ!兵装も文句なし!無理矢理後方にヘリを一機搭載はしているがそこは問題はない。


 というか、今回はどう考えてもいくら味方とはいえ、勝手に滑走路なんて作れないし戦闘機でブッパでもして火事を起こせば大変だからアパッチロングボウにて敵を一掃しようとしているのだ。


 それでもアパッチに搭載されている、ヘルファイアミサイルや2.75インチミサイルなんかを発射すれば同じ事なのだがヘリの方が撃ちやすいし低空を操縦しやすいのだ。後、燃費が良い。メインの武器がM230 チェーンガンなのも良い。


 このチェーンガンは固定武装で搭載弾数は最大1200発、最大射程は約3000m、操縦と射撃まで1人で操作できるし任意でもう1人乗せ射撃手にも撃たせる事ができる。固定武装だからすぐに操作もできるだろう。実機はどうかは分からないが。


 「おっ!やってんな!いやしかしツェッペリンといい、このもがみだったか?も中々に禍々しい風貌だな?」


 「そうなんですよ。この最上は俺のボーナスをーーはっ!?なんで信治様が居るのですか!?」


 「信忠から聞いてな?今回は甥の初陣だからな。いても立っても居られなかったのだ!」


 「いやいや信長様がよく許してくれましたね!?」


 「いや言ってないからな。京での戦にも呼ばれてなかったからな。暇だから来てやったのだ!佐久間!平手!よろしくな!ははは!」


 「え、あぁ、はぁ〜・・・」


 ほら!佐久間さんですら少し引いているぞ!?


 「信治さま・・・・」


 「おう!すず!来たぞ!俺が守ってやるからな!ははは!」


 うん。すずちゃんは目がハートだな。もう結婚してしまえばいいのに。


 そんなこんなで1時間もしない内に到着だ。


 「ってか小雪?どうやって陸まで行けばいいの?」


 「・・・・・・・・」


 小雪も俺も失念していた。


 「大橋殿?この船は浅瀬まで入れるのでしょうか?」


 「信忠様!いい質問です!答えは否!どうしましょう・・・」


 「ははは!用意周到な暁達に不足があるとは傑作だ!ははは!」


 クッ・・・信治さんよ!?勝手にいつの間にか忍び込んで馬鹿にしやがって!!


 「おーい!先触れにあった織田様の船ですか!?」


 暫くすると小さい船に乗った人達がやってきた。多分徳川さん領の船の人だと思う。


 「そうです!陸に上がれないのでどうしようかと思ってたのですよ!ははは」


 笑ってごますしかない。ただ、それからは早かった。いわゆる、小早と呼ばれる木造の安宅船が沢山やって来て俺達を運んでくれるとの事でお願いする事にした。


 船の警備役は佐助にお願いした。


 「任されたし。お偉い共が多い中はごめんだ!彩葉も一緒に居てくれるよな!?」


 「しゃーなしですよ?」


 とこれまたこっちはこっちでいい関係のようだ。彩葉ちゃんもどこで覚えたか分からない現代語を使っているのが不思議な感じがするけど。


 さて浜松城・・・楽しみな城だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る