竹中半兵衛の苦難
次の日起きて早々に小雪にとんでもない事を言われた。武田と上杉の同盟の件だ。
「映像をどうぞ」
「確かに・・・これでもか!?ってくらい熱い握手してるけど・・・まさか本当に共闘してくるとは思わなかったよ。ってか、史実では信玄が死ぬのはまだ先だよね!?結構深刻そうな咳してると思うけど?」
「1573年4月12日に死にます。今は1571年1月5日でございます」
「う〜ん・・・胃癌だったと思うけど違うのかな?」
「どうでしょうか。診察していないため確定ではありませんがただの風邪というのもありえますし、結核っていうのもありえます」
「まあ、敵の病なんかどうでもいいけど。越後は雪が降るから行軍は雪解けを待ってからかな?」
「恐らくそうなるでしょうが将軍は待てる方ではありませんからね?先に暴発するのでは?と私は思います。だから、織田様に将軍の相手をしてもらい私達は徳川様の救援にと思っております」
「救援と名目はするけど雌雄を決するくらいの戦になりそうじゃない!?なんなら、これが天下分け目の戦ってくらい大規模になりそうだけど!?俺達だけではさすがに・・・・」
「暁様は相手の土俵にて戦うおつもりですか?」
「あっ、ごめん。さきさん?起こしてしまったね」
「いえ。巷で聞こえる空を飛ぶ鉄で戦えば良くないですか?」
「いやそうなんだけど徳川様の領土だからね?関係ない人まで流れ弾で死んでしまいそうだし、なんなら俺が破壊者に見られるかもしれないんだよな」
「ならば私に提案があります!ついでに織田様にも言いましょう!」
オレと小雪は城に行き信長さんに武田、上杉の事を言った。
「面白くないな。武田と上杉が手を組んだか・・・」
「なので、いくらかの兵は必要ですが私達が徳川様の救援に向かいたいと。そして、織田様は完膚なきまでに将軍の軍を壊滅させここで畿内、越前、越後、甲斐を掌握するのが最善手かと」
「お前達は武田、上杉を相手に勝てると断言できるか?」
「「できます」」
「ほう?二人揃って言うとは中々の自信だな?」
まあ負けはしないだろう。たださっき言った被害の事だ。武田や上杉の兵なんかはどうでもいいが徳川家の人達の領民は可哀想だ。
「ここで私からの提案です。奇妙様を総大将に徳川家救援に向かいます」
「なに!?奇妙を総大将にか?」
「えぇ。私の見立てでは将軍が先に暴発するでしょう。越後は雪に閉ざされているためすぐには進軍が叶いません。元服を済まし、見事救援成功し上杉、武田を滅ぼしましたら名実共に織田の後継者は奇妙様と皆も納得致します」
「小癪な物言いだが的を得ている。兵はどのくらい必要だ?」
俺も今、小雪の作戦を聞いたがこの戦で一気に動かすつもりだな。確かにここで武田、上杉を退場させれば周辺に敵は居ない。むしろ北条は織田に降るしか道はない、それに続いて里見、佐竹、引いては最上、伊達、芦名家なんかも続くだろう。
そうなれば織田の天下は決まったも同然。西日本に目を向け集中できる・・・。ただ、二人を運良く討てたとしても勝頼はどうなるか。上杉家は放っておいても内乱をするだろうが・・・。
「兵は2000名程と指揮官を2人居れば問題ありません。少し話は変わりますが新しい事を始めたいのでこのまま言ってもかまいませんか?」
「分かった。平手と佐久間を付けよう。お主らの支配内に組み込んでやる。手足の如く使え!奇妙に戦とはなにかを教えてやれ。して、新しい事とはなんぞ?」
新しい事ってなんだ?これも聞いてないぞ?
「実は城下外れにある、古びた家にて春を売る店を大橋家で差配しようかと思っております」
はぁ!?ここで風俗の話かよ!?
「ふん。ワシの部下でも誰かとは言わぬが変装して行っておるやつが居るのう。それをお前達が監督すると言うのか?」
「はい。そういう、風俗業、飲み屋なんかは同じ区画に建て、清潔にし病気が蔓延しないように診察も行います。黙って隠れて営業しているような所は罰を与えると良いかと」
「この事に関してはワシからやれ!とは言えぬ。目は瞑っておいてやる。良きに計らえ」
小雪は本当に話を纏めやがったな!?大変だ。戦に内政にやる事が多い・・・誰を付けようか・・・。
城から家に戻りどういう風にするのか小雪に聞いた。
「戦の事もしながらでは無理じゃないか?」
「いいえ?こんな時こそ適任が居るでしょう?」
「うん?誰だ?」
「おぉぉ〜!大橋殿!何でも新しい事業をするとかでそれに噛ましてもらえるとか!?」
「呑兵衛さんね・・・」
「むむ!?今日はまだ飲んでないですぞ!?」
「はぁ〜・・・とにかく!もしかすれば美味しい話になるかもしれません。かなりの人手が要りますので覚悟して聞いてくださいね?」
俺達は悪どい笑顔で竹中さんに事の次第を言う。
「はぁ〜!?春町を大橋家で牛耳ると!?」
「牛耳るわけではないけどまあ概ねそんな感じです。まずそういう女の人を診察して病気があれば治します。そして利用客にもルール・・・う〜ん・・・決まり事を守ってもらい治安も良くするって感じです」
「さすがにそれは私一人では・・・・」
「弟さん達も使ってもらっていいですよ?ちなみにですがお金は新式のお金です。セバスチャンが今量産してくれてるやつです」
そう。このお金だが色々考えた結果やはり結局は俺が1番覚えやすいように現代の日本で使われている、1円、5円、10円、50円、100円、500円、1000円、5000円、10000円にした。
硬貨に関しては錬成機を使い量産している。所謂、鐚銭や悪銭、宋銭など巷で使われているお金は全て新しい銭の原材料になっている。まあ正直俺が1番損してはいるがこれに関しては許容範囲だ。
そして紙幣に関してはセバスチャンの手作りだ。ミツマタの樹皮を使い作っている。肖像画だが信長さんが嫌がり・・・そもそもまずは浸透させないといけないため織田木瓜紋を印刷している。紙幣に関しては織田が価値を保証するという意味合いも込めている。
「そうそう!これですよ!銭ではなく紙の銭とはまた思いきった策ですな!?」
「偽造できそうで絶対できませんからね?この真ん中の透かして見える木瓜紋なんかは絶対に真似できないと思いますよ。他にも隠している事はありますがとりあえずはこんな感じです」
セバスチャンの手心で織田木瓜紋に関しては俺の名前の漢字、暁って漢字で木瓜紋も書いているらしい。虫眼鏡で確認すれば確かに暁暁暁暁暁と非常に小さく書かれているのが分かった。軽くメンヘラかとも思ったが。
「確かにどのように作られておるのか分かりませんな?さて・・・どこから手を付けましょうか・・・」
俺達は城下を散策して北側の切り開いていない場所に目を付けた。
「ここなんかどうですか?」
「ここですか・・・少々暇が必要ですな?まずは木々を切り倒しーー」
スチャ・・・
「小雪?俺がやるよ」
俺はニンフ剣を抜き大きく薙ぎ払いをする。
ブォーーーーーンッ!!!
「一刀両断!」
パチパチパチパチ
「やはり剣技も一流ですな!?壮観!壮観!ですが木の根はどうするつもりなので?」
クッ・・・決まったと思えば揚げ足か!?根っこの事忘れていたよ!?
「激流を制するは静水・・・・地走りッ!!!!」
「おぉぉぉーーー!!!奥方殿!素晴らしい!!」
クッ・・・小雪・・・美味しいところを持っていきやがったな!?
地走りとはゲーム内で剣や槍で使える技の一つだ。地中に風の刃を走らせ相手の進軍を止めたりできる技だがまさか小雪が木の根を掘り起こすのに使うとは思わなかったぜ。
「暁様の手を煩わせるまでありませんでしたね?」
「ふん!どうせ俺は詰めが甘いんだよな!とりあえずこの倒した木とかは錬成機の材料にしよう」
ここから始まる春町の運営だが後は地均しをしてジオラマ家を出せば完成だが・・・人を見つけよう。
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