比叡山焼き討ち1
「「「おぉぉぉ〜〜!!!!」」」
「大橋ッッ!!!何故にそれをもっと早くに出さないのだ!!」
「すいません!ただ、これは武装兵器が装備していないので攻撃に使えないのです」
「そんなものなくても良い!まさかこれが空を飛ぶのか!?」
「そのまさかです。チヌークのような速さはありませんが浪漫を感じませんか?」
「うん?ろまん?それはどういう意味だ?」
浪漫が通じないか・・・。
「織田様?私から説明致しましょう。この大きさの物が空を飛ぶと想像してください。そしてこれは織田様の物です!」
「うむ。小雪が説明するか。これがワシの物・・・そして空を飛ぶ・・・」
「はい。神のみぞ許される天上から人を見て愚かな人間の矮小さを感じる事ができると思いませんか?」
いやいや小雪よ!?話を大きくしすぎだろ!?人間の矮小さって!?
「おい!兄者!兄者は深く考えなくて良いのだ!要はこれを使い圧倒してしまう事!まだ飛んではいないが何ができるか考え、想像し可能性を感じる事をろまんと言うのではないのか!?」
「チッ。信治めが!一丁前な口をしやがって!だが的を射ている。大橋!これをさっそく飛ばせ!それでこれが何ができるか教えろ!」
信治さんは要領がいいな。意味がなんとなく分かっている。
それから俺は皆を乗せて飛び立つ準備をする。例の如く青地さんは嫌々気のような子供になっていた。
「いやじゃ!いやじゃ!ワシは宇佐山城にて後備えで良い!!」
「おい!青地!情け無いぞッ!!其方が城詰めのままでどうするのだ!!」
とこのような事が起こりながらも飛び立つ。
ブォーーーーーン
凄まじい音が鳴り響きながらも難なく離陸する。
操縦は簡単だ。上昇レバーがあり、そのレバーにより高度が決まり、もう一つのレバーで速さを決めるだけだ。後は車のようなハンドルがあるだけだ。
「大橋?戦車なる物は色々あったがこれは簡素な感じがするな?」
「うをぉぉぉぉーーー!飛んでいるぞ!!」
「怖くない!怖くない!逃げちゃダメだ!!」
後ろでは皆が騒いでいるが気にしないでおこう。
「はい。これはできる事が限られているのでそんなに色々な装備がないのですよ。おい!佐助?皆を少し下がらせて!俺がディテールに凝った内装バージョンにするから」
「おっ!宮廷晩餐室バージョンにしましょう!」
「あれは特別な時にしかしないぞ!今回は皆も居る事だし和風バージョンにする!」
「了解致しました!さぁ皆ここまで下がってくれ!今から我が左手からイルージョンをお見せしよう!」
「「「いるーじょん?」」」
「ほう?佐助が珍しく前に出るか。何を見せてくれるのだ?」
「大殿様もお下がりください!今から我が誰にも真似できぬ物をお見せいたしましょう。ただ一つ願いがございます」
「ほう?ワシに願いか?なんじゃ?言ってみよ」
「誰でも良いので城の女子(おなご)を我に紹介しーー」
スパコンッ!!!!
「織田様すいません!!こいつはバカのバカで女に見境いがない本能に忠実な奴でして気にしないでください!後でキツく言っておきますので!」
「クハハハハハ!!良い!先の戦で見事な指揮を見せた者でも色欲には弱いとな?傑作だ!落ち着けば貴様も城の出入りを許してやろう。女子が欲しいなら自分で落としてみせよ。ははは!」
偉く上機嫌な信長さんだな?普通に許されたぞ?
「では行きますね。和風バージョン!!」
ブワンッ
「「「「おぉ〜!!!」」」
「おい!部屋が変わったぞ!?どういうことだ!?」
このツェッペリンの特徴の一つ。すきな家具を配置できる事だが4つまでそれを記憶できる事だ。ボタン一つで様変わりし気分によって戦国の空の旅に変化をもたらすものだ。
ちなみに俺は宮廷晩餐室バージョンと和風バージョン、実家の俺の部屋バージョン、洋室バージョンを記憶させている。
そして気になるのは居住区だ。飛行船本体の下にゴンドラとしてくっ付いているだけだが本物はどうかは分からないがこれは先にも言ったとおり救助艇として使える物なので20mのゴンドラが二つくっ付いているのだ。
その二つ目のゴンドラには紐を巻き上げて使う手動エレベーターが備わっていて簡単に地上まで降りれるのだ。え?それはどんなシステムで出来てるのかって?そんなの分からん!使えるんだから作り方までは知らん!
その二つ目のゴンドラには医療用ポッドやアカチン、完全回復スプレー、巨人の薬、英雄の薬、魔女の涙など他にも色々な薬を常備している。ベッドなんかも、なんなら俺の館にあるやつよりフカフカだと思う。ゲームではそのフカフカ具合は分からなかったが今なら分かる。これは人をダメにするベッドだと。
「な、な、なんじゃ!?何故部屋が変わったのだ!?幻か!?」
「落ち着いてください!これがこのツェッペリンの特徴でございます!予め決めておいた家具なんかを配置しこの記憶ボタンを押せば覚えておいてくれるのです!」
「なんと!?未来ではそのような物まであるのか!?」
うん。さすがにないかな?ゲームだけにしかないと思う。
「え!?あぁ、まあありますよ?まずは座りましょう。皆様に馴染みがある和風・・・日の本風にしてあります!」
「ほう?日の本風と言うならば南蛮風もあるのか?」
「はい。ありますよ」
「良い!ならば南蛮風にしろ!ワシに日の本は小さすぎる!」
いやいやどういう意味だよ!?部屋のスケールが小さいと言うのか!?これでもかなり課金したんだぞ!?
「あっ、皆さんこちらに来てください!この下に書かれている線よりこちらに来ないと部屋が変わらないのです!」
「お、おう。そうか。すまん!」
「洋室バージョン!」
ブワンッ
「「「おぉ〜!!」」」
「また変わりおった!!これが南蛮風なのか!?この天井から吊り下がった物は!?」
「それはシャンデリアです!光るのですよ!」
「お!?本当だ!光っておる!これは何で光っておるのだ!?蝋燭でも入っておるのか!?」
はい!電気で光ってると思われます!なんで光ってるのかは俺も分かりません!と声を大にして言いたい。
「これは椅子という物なのか!?」
「あ!明智様も座ってみてください!王様気分を味わえますよ!」
「なんと!?恐れ多い・・・お館様こそ王に相応しい!」
「大橋?これはなんというのだ?」
「佐久間様!それは冷蔵庫ですよ!中に飲み物とか入ってますよ!」
と、このように戦の前の試し飛行のはずが酒を飲んだりジュースを飲んだりソファーに座ったりと各自が楽しんでいた。
「さて・・・これを飛ばし作戦をしようと思っております。一度戻ってもよろしいですか?」
「うむ。十分に楽しんだ!よし!宇佐山に戻れ!それとこのそふぁーなる物を岐阜に一つ寄越せ!座り心地が良い!」
「え!?ソファーですか!?これはソファー如き、課金額4000円もしたーー」
「畏まりました!私が用意致します!楽しみにお待ちください!」
「うむ。さすが大橋の嫁だ!分かっておる!おい!大橋!大儀である!今後の作戦にも使える物である!皆の者も大橋を見習い励め!」
被せるように小雪が了承し一度宇佐山城に戻った。
そしてその日の夜から作戦が開始される。柴田さん佐久間さんは根本中堂の方へ山王に21ある社を包囲し徐々に追い詰めるような指示を出したみたいだ。明智さん青地さんは坂本の町の住人に声を掛け俺達を頼るのであれば手厚く助けてあげる事になっている。
ただ、叡山に住んでる人達は坊官の家族が多いため検分をする事になっている。史実では皆殺しにしたかもしれないがさすがにそこまで俺も鬼ではない。
そして叡山から逃げてくる人の中には偉そうな事を言いながら子連れで逃げ出す女も居たがそんな人には容赦しなくていいと信長さんは言っていた。支配階級でもない人間が農奴や穢多に向かい搾取していた家族は同列である!と言ったからだ。
「我らに最近肉を提供しておる畜産業、屠殺者に対して偉そうな口をするなんぞ言語道断!」
とも言っていた。真にその通りである。俺が肉を提供しろ!と言われても無理な話だ。
徐々に囲いを狭くしていく中、宇佐山城に届けられる人達は俺達に感謝している人が多かった。
「ありがとうございます・・ありがとうございます・・・」
「安心してください。延暦寺の僧兵が布施の強要や食物を奪いに来たのでしょう?はいどうぞ。お粥を食べてください」
とこのように無償の施しを織田軍が行っている。中には否定的な人も一定数居るのも事実だ。
「織田が何者か分からないがお前達が襲ってこなければ平和だった!」
「そうだ!そうだ!布施さえちゃんとしておけば娘を連れて行かれたりしなかったのだ!」
とこのように感覚が麻痺してしまっている人達も居るのだ。だがこのような人達も無償で食べ物・・・特に甘い物を渡せば大人しくなる。
「延暦寺の人達はこのような甘味をくれますか?食べさせてもらった事ありますか?織田に降ればこのような物毎日食べれますよ?」
と言えば半信半疑ながらも皆確認もせずにチョコレートや飴玉を貪っている。もしこれに毒を仕込んでいれば一網打尽だろうなとも思う。
そして、俺達に助けを求めて来た人の中で、色々な人が言う人物。慈海という僧侶・・・この人が俺達が包囲してから何回も家に押し入り奪い尽くしているそうだ。
特徴を聞けば先の映像で見た人物と似ている。だが似ていても皆スキンヘッドなため間違えているかもしれないので民の人に映像を見てもらい確認する。
「ひ、ひぃ〜!!!」
「落ち着いてください!これは今この時などを映し記憶する物でございます!」
「人が箱の中に生きておる!」
はぁ〜・・・説明が大変だ。まずは確認作業からだな・・・。
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