我が軍は圧倒的ではないか!
「ヒッヒィ〜!飛んでいる!」
「本当に空を飛んでいる!!!」
「はは!!空を飛べるとは思いもよらなかったぞ!!!」
みんな各々が感想を言っているな。
「おい!大橋!お前はこれを我が弟、信治めに先に乗らせたと言うのか!?今後このような物はワシを先に乗らせろ!」
「はっ。分かりました」
「チッ!ずるいぞ!兄者!」
「ふん。こういう時に権力とは使うのだ!ワシはこのようなちぬーくとか申す物は持っておらぬ!だがこれは織田家の物だ!つまり大橋はワシのものだ!」
いやいや裏切るつもりはないけどオレは信長さんのものかよ!?
「おい!あそこに叡山が見えるぞ!!」
「ほう。空からはこんな風に見えるのか。大橋!叡山の上を飛べ!」
オレは比叡山の上空を旋回し飛行した。山に篭っている朝倉や浅井、坊官の人達が仰天してこちらを見ているのが分かる。
「壮観!これを攻撃に使えば我が軍は圧倒的ではないかッッ!!!」
うん。どこかで聞いたセリフだな!?その空からの攻撃はチートすぎてさすがに酷いと思うからオレは手加減したわけだが!?
「織田様?空からの攻撃は圧倒的ですが私が持っている兵器は火事を起こす物ばかりでして攻撃すれば自然と焼き打ちになってしまいます」
「うん?確かでかい鉄砲があったろう?あれも火事を起こすのか?」
「ガトリング砲ですか?あれはそんな事ありませんがミサイルという物は枯葉から火事になる恐れがあります。今後は考えて使う必要があるかと」
「うむ。支配地を火事で焼け野原にすれば民草からの支持がなくいつ一揆を起こされるか分かったもんではないからな。だがこれは良いぞ!人がゴミのようだ!ははは!」
いやいやこれもどこかで聞いた言葉だな!?
「殿ッ!!これで兵を運ぶ事も可能になったのではないですか!?」
「ほう?堀は考える余裕があるか。ワシも今考えていたところだ。これを使えばわざわざその場その場に兵を連れて行き、必要な人員、物資を必要なだけ運べるな?」
「さすが殿!」
さすが天下人だな。初めて見て初めて乗るチヌークの使い方が分かるか。
「これは大橋以外でも乗れるのか?」
「操縦を覚えれば乗れますがもし操作を誤れば墜落して死ぬと思います。それとこれを含め空を飛べる兵器は5機しかありません」
「ではこれは作れぬのか?」
「いえ物凄く技術的にも進めば作れない事はありませんがまず明日、明後日で作れる事はありません。挑戦的な聞き方ですが何故このヘリコプターが飛ぶか分かりますか?」
「・・・・・」
「これを答えられる人は居ないでしょう。そういうところを勉強し、技術力が上がれば作れると思います」
まあリップサービス的に無理とは言わなかったが十中八九無理だろう。精密機器なんかも作らないといけないし、そもそもの電気なんかも作らないといけない。エンジンなんかはもっと先の話だ。セバスチャン、佐助、小雪を全力で稼働させればワンチャン信長が生きている間に飛行機界初期のプロペラ飛行機くらいは出来上がるかもしれないけど。
「うむ。ではワシの曾孫くらいにはこの空いっぱいのへりこぷたーとやらが飛ばせるくらいには頑張るかのう。さっさと日の本を平らげねばならぬ」
うそ!?マジで言ってんの!?
「お館様は尾張でこれを作る気で!?」
「大橋が言うにはまずは勉学からだそうだ!可成!お主もまだまだ働いてもらうぞ!」
「はっ」
うん。マジでやるみたいっすね・・・マジかよ・・・。学校でも作ってじゃあ・・・遅いよな・・・。これはまた後々考えよう。
その後30分程周辺を飛び宇佐山城に戻って来た。青地さんは足が動かなくなるくらいガチガチになり、小姓さん達が引っ張り出していた。
「お、おい!お前等!この事は誰にも言うなよ!?」
「青地!お主は勇猛な将と思ったがちぬーくの前では大した事はなかったのう?ははは!」
「「「はははは」」」
「大殿!それはあんまりですぞ!!?」
時刻は18時ちょうどの時の出来事だった。そしてこの日はみんなでまたもや飯を食べるとの事で大広間に集まり岐阜で食べさせた水炊きとなった。
「うむ。可成!本当によう守ってくれた!」
「各務も若いのに怖気ずによう頑張った!」
と一人一人よそい、労いの言葉を掛けていざ食べ始める時に堀さんがドタバタ走りながら大広間に入って来た。
「堀!飯時ぞ!静かにせんかッッ!!」
「す、すいません!六角家より和睦の使者が参りました!」
堀さんがその事を言うとこれでもか!?ってくらいの悪そうな笑みを信長さんが作った。
「皆の者はワシに構わず食べていろ!堀!案内致せ!小雪!大橋!お前達はついて来い!」
いや俺も腹減ってるんだけど!?
案内した場所は小さな部屋だった。応接室みたいな感じかな?それでも囲炉裏がある部屋だった。
正装に着替えろとの事で俺はインベントリーから出したこれまた何故か丸に鍵十字家紋が刺繍されている、小袖に肩衣と袴を着た。小雪は真っ赤な着物だ。
「小雪!中々粋なお召しではないか!今度、帰蝶にも見繕ってくれ!」
「ふふふ。ありがとうございます。畏まりました。織田様もその南蛮服がお似合いですよ?」
「ふん。抜かせ!よし。来い!」
信長も小雪もお互い社交辞令で褒めあっていたが俺は純粋に小雪はかなり綺麗だと思う。
「小雪?凄く綺麗だよ」
「ありがとうございます♪」
小雪とはずっと一緒にいるが、さきさんは元気にしているだろうか・・・久しく会ってないよな・・・。
「ほ〜う?まさか当主自ら赴くとは大胆な選択を致したな?六角左京大夫殿?」
え!?この人が六角義賢本人なの!?言葉は悪いが想像より10倍は影が薄い人だな!?ただのおじさんにしか見えないや。
「無駄な虚勢や大きな口を言っても意味がない。あの空を飛ぶ物は・・・織田殿は神をも味方に付けたのであるか!?」
え!?神を味方!?この人は何を言ってるのだ!?
「神を味方・・・そう思う理由を言ってみよ」
「まず人が空を飛ぶ事は有り得ない!ましてや空から雷を落としたり響く声を出したり・・・我が軍は戦々恐々となり戦うどころではなく・・・ワシは・・・最初、物の怪の類か何かと思うておったが・・・」
「うむ。続けよ」
「見ればその隣に居る男が乗っているのが見えた。遠目ではあるがワシは目が良い方。間違いない。ワシが呆けて見ているしかない間に気付けば我が軍の半分が死んだ。ワシは怖い。こんな戦があってたまるものかと・・・」
「言いたい事はそれだけか?」
「他にも志賀や穴太に向かう街道には鉄の虫が居たと聞いている」
戦車を鉄の虫か。この時代の人はそんな風に捉えるのだな。
「大橋?戦車だったよな?」
「はい。オイ車の事だと」
「叡山に撤退してからは兵達が生贄を渡し鎮まってもらおうとも言い出した。それでワシはもう無理だと悟りここへ来た」
「その剃髪は仏門に入るつもりか?」
「家督は嫡男、義治に。後はワシは如何様にも・・・」
この人は本気で怖がってる感じなんだな。
「つまらんな。そう思わぬか?」
「つ、つまらんですと?」
「かつて六角家と言えば近江国守護であったのに今や浅井より下に見られつまらぬと思わぬか?」
「我らを愚弄するか!?」
「ふん。お主がそうとしか捉えられぬと申すならお主はそれまでの男。お主は弓術を得意としておるな?」
「・・・・そうだ。だがそんな事いまさら使えぬ世にーー」
「許す!」
「「え!?」」
思わずオレと六角さんがハモッてしまった。
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