新たなる人材
次の日健脚アンドロイド勘助が帰ってきた。10人の男女連れて。
「おぉ〜!暁様!今帰りましたぞ!!」
「勘助!おかえり!その人達は!?」
「ははっ!紹介しましょう!」
紹介された10人は元々土倉や酒屋、問丸なんかを営んで居た人達だった。土倉とは要は金貸しだ。相手から質となる物を貰い高利で金を貸したりする者の事だ。
問丸とは少し言い方は違うかもしれないが簡潔に言えば飛脚のような業を行なっている者の事だ。正確には平安時代後期から鎌倉時代頃に組織され、取扱うのは主に荘園からの年貢米。
その由来については不明な点が多いが、荘園にあった納所や木守など物資の管理に従事していた人々がその物資を輸送する業務を行ったり、反対に河川や港で物資の輸送にあたっていた問職と呼ばれる人々が物資の一時的な管理業務にあたるようになった者の事だ。
「伊勢や相模から引き抜きしましたぞ!!」
いやさすが勘助だわ。この短期間でよくそんなに回れたな!?
「勘助様からお言葉いただき、馳せ参じました。相模の海で色々な荷物や飛脚などを生業としておりました。簗田晴左衛門と申します」
「え!?簗田晴左衛門さんって確か水海城の城主の一族の方ではありませんでしたか!?」
「さすがは大橋様でございます。如何にも某の親戚筋が治める城でございますれば」
とんだ大物を連れてきてくれたもんだ。何を餌にしたんだ!?
「城の方や北条家に関しては大丈夫なのですか!?」
「某の家の事を知っておるものは何故か勘違いなされておる者が多いようで某の一族は古河公方の配下です。それと横に居る者は某の下男です」
聞けばこの人の一族は古河公方に仕える人だが、関東辺りは小競り合いが頻繁にあるらしく、簗田本家の城に攻撃された所、武田が甲相駿三国同盟を破棄して駿河侵攻を行い、上杉、北条が同盟を行う節があると。それで本家にも武田から書状が来たと。
そこで黙っていないのが関東の反北条派、里美家と佐竹家だ。簗田晴助(簗田家当主)は彼らと共に足利藤氏の弟で里見氏の許にいた足利藤政(古河公方)を担ぎ上げて甲斐武田氏と同盟を締結したらしい。
「ただ・・・・どうも北条氏康殿は病で先が長そうもなく某の本家、簗田晴助は甲相同盟が復活するのではないかと危惧しており、もし復活してしまえば簗田家は上杉家、武田家、北条家と敵対してしまう事に・・・」
弱小と言えば失礼だが確か下総の人達だったと思うが、あそこは魔境だからな。強い武将に囲まれすぎだわな。
「そこで、簗田家の活路を見出すためにあなたが参ったと?」
「えっと・・・あなた様は?」
「あら?名乗ってなかったわね。大橋暁様の正妻、大橋小雪と申します。暁様の護衛、兵器運用、隊の運用を任されてるわ」
「そ、そうとは知らずに申し訳ござらん。平に・・・」
「せっかく来てもらったし、暁様?私達が面倒見ましょう」
小雪に何か考えがあるのかな?俺は別に問題ないと思うけど。
「分かったよ。ではあなた達を雇いましょう。後、大橋家は女だからとか差別したりしたら許さないから。それで簗田さんはそうだな・・・。今、宿屋を作っているからそこの護衛という事で。また、他にしてもらいたい事があればその時に言いますね。それでその横のあなた達は?」
「俺は遠江で疲弊した民達を施し金を貸したりしていたが自分の立ち行きが芳しくなく・・・」
この人は元々今川家に仕えていたがが徳川家の遠江侵攻で色々あったらしく、今川家が去年滅び、かつて民に無理矢理取り立てしたりした自分を悔い改めたいと弱者救済な事を今はしているらしく寺社勢力の金貸しからも守ってあげたりと今のやっている事を聞けばかなり高潔な人物に思う。
「素晴らしい行動です。弱い者を助ける事は中々できる事じゃない。あなたも雇いましょう」
「ありがとうございます。倉屋孫八と申します」
「倉屋さんね。あなたはこの館に久兵衛って人が居るから久兵衛の下に教えてもらいながら飯屋をしてもらいたい」
「飯屋ですか!?は。畏まりました」
「最後にあなた達女性は?」
「あたい達は家族だ!」
いや家族だ!って啖呵切って言われてもだな!?
聞くとこの人達は所謂、未亡人だ。那古屋の海の近くで魚を各地に売りに行ったりしているらしいが関所の通行料なんかで二束三文だそうな。
「女性なのに魚獲ったりしてるのですか!?」
「そんなの男も女も関係ないさね!畑があるわけでもない、こんな年増な女なんて買ってくれる男も居やしない。なら自分達にできる事と言えば昔から海に潜ったりしてたから魚や貝なんかを売って食って行くのがやっとさ」
逞しい女性達だ。是非とも海の魚を獲ってもらいたい。魚に関しては錬成で作れないからな。
「雇いましょう。お名前は?」
「あたいは、きょう。後は左から、よしの、けい、おこい、ゆり、たまだよ!」
「ではあなた達は勘助に付いてもらいます。魚料理なんかもあるから下手すればかなり稼げるかもしれないですよ!」
「本当かい!?」
「小雪?ジオラマ家をいい所に出してあげてくれる?」
「分かりました」
「勘助?勘助はみんなにお金の価値、値段等を簡単に教えてあげるように!それと湯治場も作りたいと思う。温泉街まではいかなくていいからアイテムも何でも使っていいから岐阜を清潔にしよう。ゆくゆくは下水処理なんかもしたい。その監督を勘助に任す!」
「それは遠慮なしでいいので?」
「大丈夫!あっ、忘れてた。小雪?奇妙丸君を呼んでくれる?」
俺は奇妙丸君を呼びみんなを紹介した。そして、今から行おうとしている事を簡潔に言い、勘助の事もちゃんと言った。
「それで、湯治場を作り、飯屋、遊び場、仕事の斡旋場、奇妙丸様のご指導の元、働けない者への救済、病院など私が強制的に発展させていきます。その功績は全て奇妙丸様の元へ帰ってきます」
「え!?何がなんやら・・・」
「兎に角、これから奇妙丸様は算術だけじゃなく他にも色々覚えてもらわないと始まらないのです」
「いやですが大橋殿!?そんなに色々して父上はーー」
「お父上は関係ありません。これは奇妙丸様の事業です。この事を咎めるような織田様ではありません。むしろ黙って後押ししてくれるでしょう。今は周辺に敵が多く他国からの来客は少ないでしょうが、来年・・・来年にはてんてこまいになるくらい人の往来が多くなっている事でしょう」
「は、はぁ〜」
あんま実感がない感じだな。だが俺の名前を残すならまだまだ温いくらいだ。せめて倫理観は現代に近づけるように頑張ろう。
「私達は明日には横山城に向け進軍致します。護衛に喜助を付けておきます。なんなりとお使いください」
「暁様!?そりゃないぜぇ〜!?」
「へぇ〜?そうやって言うんだ?奇妙丸様は元服前・・・今一番色々吸収する時期だと思う。その時期に喜助が剣術、槍術、砲術、座学、色々教えるとどんな人物になるだろうな?それと、もし奇妙丸様が一人前になるまで頑張れば俺のコレクションの一つバレットM82を先渡ししてやる事も可能だが?」
「え!?暁様のバレットですか!?・・・・・・・ご紹介に預かりました暁様 支配内 喜助と申します。これより我は奇妙丸様の矛となり盾となりましょう。向かってくる者には正義の鉄槌を。縋ってくる者にも正義の鉄槌を。先手必勝。この世界を奇妙丸様に!」
スパコンッ
縋ってくる者も向かってくる者も攻撃してどうするんだよ!?何が先手必勝だよ!?この世界をって馬鹿じゃないのか!?思わず便所スリッパで叩いてしまったじゃないか!
「奇妙丸様?たまにおかしな事言いますが基本的に頭は大丈夫ですし、女に弱い節がありますがお使い下さい。少々攻撃的ではありますが私のようにこの便所スリッパで頭を叩いていただければ止まります」
「え!?あ、はい。奇妙丸と申します。よろしくお願い申し上げます」
よし。とりあえず簡単な振り分けはできたな。後は手探りで頑張って行こう。
「小雪?台所で手伝って欲しいことがあるんだけどいいかな?」
「はい!いいですよ!何か作られるのですか?」
「明日からまた遠征だろう?その前に約束のね?ティラミスと俺が今日は飯を振る舞おうと思う。そうだな・・・貰った銭を死蔵させてもよくないから町で使えそうな物を買ってきてくれる?野菜とか何でもいいよ!銭も多めに渡すように!」
「(クスッ)【強者の嗜み】ですか?」
この【強者の嗜み】とはゲーム内の称号みたいな物だ。色々な町で必要以上のお金を店の人に渡していくと貰える称号だ。特殊能力はない。
ネームプレートに書かれるのと後は服が貰えるのだが、この服は宝石が色々付いている服で一言で言うなら悪趣味。俺は着る事はない。
だがこの服自体は大きい買い物をする時などに相手が勝手に値切りしてくれる【威圧感】を持っている。この世界で使う事があるかは分からないが・・・。
「違うわ!お金を回すためだよ!じゃあお願いね!」
「畏まりました!」
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