姉川の戦い
俺達は徳川の陣の横に布陣した。もちろん先頭にだ。相対するは・・・旗印は朝倉だな。
「大橋殿は我らの目付け役。手を出さないでいただきたい」
「目付けとかは言われていませんが何かあるまで手は出しませんよ」
「暁様?我らは本当に何もしないので?」
「織田様から正面から受け止めると俺は聞かされましたからね。危なそうならさすがにどうにかするけどとりあえず黒夜叉隊は待機でお願いします」
「分かりました。突撃するならばお声掛けお願いします」
「小雪?佐助と喜助は大丈夫そう?」
「あの2人もウズウズしてますが大丈夫でしょう」
「それにしても中々始まらないな」
そういえば大軍での合戦はタイムスリップしてからは初めてだよな。いや最初の撤退戦してるから2回目か?けど、緊張もしない。むしろ心地よさすらある。お守りのおかげもあるかもだけどもう大丈夫だろう。
それから徳川軍の先頭の人達が石投げを開始した。相手も投げ返してはくるが、人数が少ない。だがそれは唐突に起こった。距離は離れているが俺にもはっきり聞こえた。
「懸かれーッッッ!!!」
浅井軍の突撃だった。だがそれは凄まじい勢いの突撃だった。
「お、おい!小雪!?あの突撃大丈夫か!?」
「いやあの勢いは想像以上です」
織田の布陣は坂井政尚、池田恒興、羽柴、柴田、森、佐久間か。信長は竜ヶ鼻に残ったままか。
「クッ・・・一番槍をと言うたのにこのていたらく・・・」
「徳川様どうされますか?」
「誘き出さねばならぬ!だが・・・」
もういいかな?ナポレオン砲でもぶっ放すか!?あの勢い・・・確かに結構深く入り込まれそうではあるけど・・・もういいや!怒られれば怒られたまで!
「徳川様?今から私達が敵にある細工をします。構いませんか?」
「細工?何をするのだ?」
「大砲で砲撃します。向かって来なければ木っ端微塵にしましょう」
「いやそれはならぬ!大砲が何かはあまり分かってはおらぬが朝倉は徳川に任せていただきたい」
ならなんとかしろよ!?マジでやばいぞ!?既に柴田さんの所まで入り込まれてるぞ!?
「では、我らは少しして退きます。後は徳川様に」
「うん?それでは手柄を横取りするようなーー」
「いや俺達はそういうのかまわないんで!まあ見ていてください!きっかけを作ります!」
俺はインベントリーからナポレオン砲を出した。2門のナポレオン砲で一発ずつ撃つだけだ。これなら文句もないだろう。それに二発ならさすがの朝倉も逃げたりはしないだろう。
「喜助!佐助!出番だぞ!!」
「クックックっ我が右手の出番か」
「クックックっ我が左手の出番か」
スパコンッ スパコンッ
「真面目にやれ!!セバスチャンに言い付けるぞ!?」
「やだ!暁様?冗談じゃないすか!」
ふん!なんかあればセバスチャンだ!
「佐助!目標朝倉の先頭の旗印の奴だ!射角20度!」
「了解!射角20度!暁様!2門発射用意できました!」
よし!さすがに早いな!
「そ、それはなんじゃ!?」
「うん?これですか?これが大砲です。ナポレオン砲と言います」
「これが武器なのか・・・」
「徳川様?私は今から朝倉に向かって撃ちます。凄い音が鳴りますのでご注意を。喜助!佐助!321撃てッッ!!」
ドォォォォォーーーーーーン! ドォォォォォーーーーーーン!
「なっんだ!?」「雷か!?」「何の音だ!?!?」
雑兵の人達はビックリだろうな。俺もビックリしてるし。
「暁様!目標命中!朝倉方 先頭の兵多数負傷を確認!」
「徳川様!徳川様!!」
「あ、え?」
「殿」 「殿っ!」 「殿ッッ!!」
「何故兵が多いワシらが押されるのだ!?」
ガキンッ ガキンッ
「こればかりは浅井の士気が高いとしか言いようがありません」
ガキンッ ガキンッ
「お館様馬廻りが来たぞ!!」
バッバッバッバッバッバッバッバッバッ
「半兵衛!あれは夢幻武器か!?」
「あっ!あれはSTG!自動機関銃ですよ!私のニューナンブM60より強いーー」
「半兵衛危ない!」
パンッ パンッ
「羽柴様!浅井の兵止まりません!!」
「なんじゃと!?半兵衛!どうにかせい!」
「こればかりは何か変わる物がないと止まりませんよ!」
ドォォォォォーーーーーーン! ドォォォォォーーーーーーン!
「あっ、あの音は!?」
「秀吉様!あれこそ暁殿の夢幻兵器でございます!潮目が変わる!」
「ははは!これが大橋殿の武器か!?凄い音がしたぞ!?」
「ナポレオン砲と言います!それより徳川様!早く下知を!今が好機です!」
よし!浅井の兵も足が止まってるぞ!織田の兵も手が止まってるけど。これでどうにかなるだろう!ご自慢の専業兵士だろ!?引っくり返せよ!!
「あっ、あぁ。すまん!呆けてしまっていた。徳川軍!目の前の朝倉に突撃ッッ!!!」
「「「オォォォォォォォォーーーーーッッッ!!」」」
凄まじい怒号だな!?俺も滾ってくるものがある!
「おい!康政!お主は浅瀬から川を渡り朝倉の側面を取れ!」
「御意!」
これが史実に残る榊原康政の側面攻撃か!?これで形勢逆転するんだよな!?
「暁様?私達も行きますか?」
「そうだな。本多さんや酒井さんが突出している。狩り時だ!行こう!黒夜叉隊!友軍に気をつけてSTGを連射!」
「「「おぉーー!!」」」」
人数が少ないせいか徳川軍の咆哮より小さいがしょうがない。
俺は小回りが効くアメリカ軍が採用している拳銃【ベレッタM9】を片手に持ち突撃した。この銃のいい所は弾持ちがいいのと安価の弾だ。まあゲーム内での出来事ではあるが一度に15発装填でき取り回しもいいのが特徴だ。
「朝倉!!死ねぇ〜!!」「朝倉!!」「腰抜けが!かかってこい!!!」
ブォォン! ブォォン! ガキンッ! ゴンッ!
なんか1人某ゲームの呂布みたいな奴が居るんだが!?しかもまあまあ大きい馬に乗っているな!?
「小雪あそこの豪傑は誰か分かる?」
「真柄氏ではないでしょうか?朝倉の将で有名な方ではないでしょうか。あの大太刀・・・備中青江派 刃長七尺三寸 太郎太刀で間違いないでしょう」
「マジで!?あの刀剣ガチャで欲しかった刀じゃん!貰おうか!後ろをお願い!」
「がははは!徳川のヒヨッコはこんなものか!ワシは大筒なんかにビビる奴ではないぞ!」
「真柄様、鉄砲隊もおります。お下がりください!」
「ふん。鉄砲なんざワシの相手ではないわ!!ほ〜う?貴様はまた違った形(なり)をしておるな?名を聞こう」
「大橋兵部少輔暁。あんたを屠る者だ!」
決まった・・・人生で言ってみたかった言葉だが噛まずに言えたぞ!!
「面白い奴だな。ワシの馬も良い馬だが貴様の馬も赤毛の大きい馬だな?我こそは真柄直隆。巷では真柄十郎左衛門と呼ばれている。貴様を冥府に送る者だ」
ヤバイ・・・屠るより冥府に送る者の方がカッコいいんだが!?見れば見るほど惚れ惚れする刀だ!セバスチャンに改造してもらおう!
「大橋殿ぉぉぉぉ!!!!」
「え!?本多様!?」
「客将を殺らせるわけにはいかん!其奴は朝倉家 真柄十郎左衛門、かなりの豪傑だ!さすがの大橋殿も1対1は危ない!ここは俺がーー」
「本多様?悪いけどこの人は俺が貰う。格の違いを見せましょう」
クッソ!何で来るんだよ!?本当は鉄砲で終わらせようとしたのに刀で戦う雰囲気になったじゃねーか!?やるか!?ニンフ剣でいけるのか!?
俺は挨拶がてらスラッシュで防御しつつフェイントをした後に飛ぶ斬撃を放った。
「スラッシュ!」
シュッ ガキンッ!
「ふん!面白い技だ!かれこれ刀の死合いを300はしてきたが貴様のような技を使う奴は初めてだ。そして最も強敵と見える!貴様も若そうだが相当な場数を踏んできておるな?お礼にワシの・・・挨拶よッッ!!!」
ブォォーーーーーーンッ! ガキンッ!
何とか受け止めたが・・・ニンフ剣では相性が悪いな。ってかこのおっさんなに!?普通に飛ぶ斬撃を初見で見切られてるんだけど!?何者だよ!?しかも【英雄の薬】でドーピングしてるんだぞ!?
「暁様!!」
「望月さん!大丈夫!手出し無用!」
「「「おぉぉぉぉーーー!!!さすが我が殿!!」」」
やめてくれよ!?本当は銃で早く終わらせたいのに余計に終わらせにくくなったじゃないか!?しかも一騎打ちのように俺達の周りみんなが手を止めて見入ってるじゃないか!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます