赤い目が本気の疾風
その後は本当に小雪が少し稽古をつけるとの事で風華ちゃん彩葉ちゃん、喜助、佐助を連れて陣の空いてる所で模擬戦をやりだした。
俺はやる事がなく徳川さんと色々話をした。今川人質時代の事、信長と初めて出会った時の事。桶狭間の事、三河一揆の事などだ。
俺は歴史の事象として知ってはいるが当事者から聞くのはまた違う。俺は差し入れのついでにみんなにスポーツドリンクを持っていった。
「見た事ない入れ物だな?これはなんだ?水か?」
「動いた後に飲むといい物です。小雪?開け方教えてあげて」
「うむ・・・美味い!甘いな!?」
「本当だ!これは甘い!!」
「これくらいならまだあるので飲みたければ言ってください」
「いやそれにしても黒夜叉隊の者は凄いな!」
「本多様は感じるものがありましたか?」
「いや、女にはと思っても油断ができんのだ。短い刀一本に俺の蜻蛉切りは弾かれてしまう」
そりゃなぁ?俺もよくは見てないがセバスチャンのお手製だしなにかしら能力が付与されているだろうな。多分俺と同じ風系の何かだと思うけど。
「それに背中に担いでいる筒にも興味がある」
「それは勘弁してください。我ら黒夜叉隊の秘密兵器なので」
ちゃんと黒川さんは秘密を守ろうとしてるのかな?奪われたりしてもあれは真似できないだろう。
それから夜には俺が飯を出してあげようと、信長には幕の内弁当、俺達はまたもやカツカレーにした。語呂がいいからな。
「大橋殿?これを食すのか?」
「酒井さん!あなたは俺にいい印象がないですし、お互い知らない事だらけでしょう。ですが騙されたと思って食べてください!必ずお代わりをしたくなるでしょう。ちなみにこれはカツカレーと言います。明日勝ちましょう!」
「そんな事は思わぬが・・・かつかれーとな?そこまで言うなら・・・美味い!!ハフッハフッハフッ!」
「酒井のおっちゃん!行儀悪いぞ!いつも俺に言ってくるくせに・・・ハフッハフッハフッハフッハフッハフッ!」
「うん?そんなに美味いのか!?匂いは美味そうだが・・・ハフッハフッハフッハフッハフッハフッ!」
カレーは正義!俺にしかこれは出せない物だぞ!
ご満悦、勝ち誇りながら俺は後ろから究極のプレッシャーを感じた。平静のお守りを貫通する恐怖・・・
「刺客か・・・」
「馬鹿かッ!!誰が刺客かッ!己らはワシより良い物を食いやがって!それは何だ!そこらじゅうに、なんなら小谷城まで美味そうな匂いを充満させておる!!」
いやいや小谷城まで匂いは届かんだろ!?ってか凄いプレッシャーだな!?ただの食い物だぞ!?
俺はすかさずカツカレーを出した。
「ほう。これか。見た目は最悪だな・・・だが・・・」
信長が来ても徳川勢はスプーンを止めないんだが!?大丈夫か!?
「タヌキ共をも狂わす飯か。チッ!美味いではないか!今生味わった事ない味!見事だ!」
ここでやっと徳川さん達は信長が居る事に気付く。
「お、織田殿!!申し訳ない!!」
「良い!ワシもこの・・・」
「カレーです」
「そう!カレーを食いに来たのじゃ!何の味とも言えん最高じゃ!将軍付きの料理人が作った飯の100倍は美味い!大橋!ワシはこれを5日に1度は食したい!頼むぞ!」
いやいや5日に1回ってなくなってしまうじゃん!!これはセバスチャンに言って自力で作るしかない!
「なんとか善処致します」
「うむ。飲み物を出せ」
俺はあんたの食事係りか!?俺はコーラを出してあげた。
「うむ!これじゃ!これが美味いのじゃ!ウップ」
「その黒い水は!?」
「大橋!タヌキにも出してやれ」
「徳川様どうぞ」
「なんじゃこれは!?口の中で暴れよる!!ウップ・・失礼」
まぁ慣れなければコーラ飲めばゲップはでるよな。
「ふん。飯を食いに来ただけではない。聞け。敵方の松明が姉川方面に移動しよる。ワシは2、3日は膠着するかと思うたが動きが早い。ワシらも未明に陣を動かすぞ」
「信長殿!信長殿家臣に戦場とはいえ、このような饗宴のような飯を食わせてもらい、後ろでのこのこしておるのは徳川の名折れ。徳川を1番に使ってくだされ!」
「うむ!その心意気良し!徳川は西の三田村に布陣してくれ。ワシの馬廻りと美濃三人衆を東の野村に布陣させる」
「了解致した」
食べるだけ食べ言いたい事言うと信長は自分の陣に帰っていった。
「小雪?聞こえるとまずいから小さい声で聞くけど史実と変わってる感じか?」
「そうですね。当初なら明後日開戦ですが少し早い気がします。けど何も問題ありません。特に明日に黒夜叉隊にだけ英雄の薬を与えます」
「了解。俺も飲もうかと思う」
「分かりました。私が用意しておきましょう」
この日は早めにテントに戻りこれまた徳川の兵の人達にまで色々聞かれた。俺は辟易としながら優しく受け答えして次の日を迎える。
「おはよう。全然眠れなかった・・・」
「よく、寝返りされてましたね!私達の時間で今、時刻は3時くらいです。そろそろ陣を動かす頃合いかと」
よくまあこんな時間にみんな起きれるよな。さて俺達も準備しようか。
俺はインベントリーに片付けるだけだから早いけど他の徳川の人達は大変だな。
「暁様おはようございます」
「おはよう!」
「望月さん?多分早朝に明るくなってきた頃くらいから戦闘になると思う。その前にこれを飲んでくれ。元気になる薬だよ」
「これは?」
「この前セバスチャンから団子貰ってから疲れなくなったでしょう?あれの飲み物ですよ」
「ありがとうございます!黒夜叉隊一騎当千の働きをお見せ致します!」
「ははは!期待してますよ!」
よし。とりあえず不足はないな。
"コナユキ?おはよう。こんな時間だけど大丈夫か?"
"暁君おはよう!いっぱい人間がいるね!戦でしょ?わっちは楽しみだよ!"
"例の人参だ。食べてくれ"
"本気だね?わっちも頑張るよ!"
"さぁ小雪嬢!本日もワテにお乗りください!敵陣だろうがどこだろうがワテは走り出したら止まらない事で有名だす!目が赤くなるのが本気のサインだす!さぁ!叩いてください!!"
変態馬は大丈夫だな。王蟲か!?お前は王蟲なのか!?
「大橋殿、おはようございます。いやぁ〜これまた立派な馬ですな!?赤毛とは珍しい」
「ははは。コナユキと言います。よく走りますよ!」
「どこの馬ですかな?」
「殿!早く三田村に向かいますぞ!」
「大橋殿、また落ち着いて語らおう。今は向かおう」
俺達はそのまま三田村という場所に向かった。姉川の戦いとなる場所に両軍到着。俺はだいぶこの世界に慣れたがマジの戦闘は初めてだ。だが緊張はない。心地よい気すらする。後、1時間弱で戦闘は始まるだろう。殺るか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます