ソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ

 「みんな!挨拶するように!俺の殿様 織田信長様です!」


 「元信濃望月城 城主 望月信雅でございます」


 「二代目望月千代女でございます。残りの女は元武田家の草及び諜報などをしていました巫女でございます」


 「織田様?これを。竹中様からの書状です」


 「うむ。・・・・・・・ほう?竹中はお前をかなり気に入っているみたいだな。この者達が織田に不利益な事を致せば連座で良いと書いておる」


 内容見てなかったけどそこまで俺を信用してくれてるのか。これは裏切れないな。


 「私も自分の配下が何かしでかしましたら連座でかまいません」


 「ふん。まあよかろう。全員大橋支配内と致す。くれぐれも裏切るなよ?ワシは身分や生まれで差別はせぬし、失敗は許す。だが何もせず怠惰に過ごし大橋の名前を語り大物言う奴は許さぬ。覚えておけ。それで、武田では主に何をしていた?」


 「皆を代表して某が答えます」


 望月が今までの事を色々言った。主に上杉との戦いに参戦したと。小さな村に入り込み破壊工作をしたり今川が塩止めした折は嫌がらせをしたりと暗躍していたそうだ。


 「ほう。中々身のこなしが良いようだな?時を見て織田でも似た事を言うやもしれん!励め!」


 「はっ。ありがとうございまする。ご期待に応えれるよう鍛錬をし励むように致します」


 「下がっていいよ」


 「はぁ〜い?そんな怖い顔しないの!バニラコーヒーよ?イライラする時は甘い物が一番!帰蝶ちゃんもどうぞ?」


 「いちいち気に触る喋り方だな?だが・・・うむ!これは美味い!これはどのようにして作ったのだ!?」


 やっぱ甘い物には弱いんだ。


 「これは牛の乳と他にも色々混ぜて作るものだよ!」


 「せばすちゃん!これを城に持って帰る!ワシが帰るまでに用意致せ!それとこの刀の鍛え方は今まで色々な鍛治師を見てきたが貴様が一番じゃ!」


 「ありがとうね?刀の声を聞き仕上げるのがあーしのモットー。持ち手と刀の魂が交わり合い究極になればそれは必ず結果として出る。あなたの備前長船は相当使い込まれてるわね?もしあなたが危ない時あなたはその刀に助けられるでしょう」


 何を言ってるんだ?こんな設定なんかあったか!?


 「お館様?どういう意味ーー」


 また手で制するやつか!?利家はまたまた止められてるな。


 「では新しい刀では本来の技は出せぬと?」


 「さぁ?それはどうでしょうかね?あーしはただ刀の鉄に語りかけ心地よいと思う打ち方で打ち火種を入れ返すだけ。もし他にも使い込まれてる刀があるなら持ってきなさい?面倒見てあげるわよ?」


 え!?嘘!?セバスチャンが自ら刀を見るとかほとんどないことだぞ!?


 「その方・・・今日から従六位下 大橋内匠少せばすちゃんと名乗れ。ワシが許す。そしてお主が良いと思うのであれば弟子を育ててほしい」


 「うぅ〜ん。暁ちゃん?どうしよっか?」


 明らかにゲームと違うセバスチャンだ。この世界に来て変わったのか!?小雪も変わったからセバスチャンも変わるのが当たり前だが・・・。


 「やりたいようにしていいよ」


 「分かったわよ。謹んでお受け致します。本日から手前、大橋内匠少セバスチャンと名乗らせていただきます」


 おいおい!?いきなり真面目モードか!?岐阜でヤバイ剣が生まれるのか!?


 「うむ。励め!何を作るかは任す!他国に負けない物を頼む!」


 「分かったわよぉ〜」


 なんだよ!?真面目モードはあの時だけかよ!?


 「織田様、暁様お待たせ致しました。演習場出来上がりました」


 「うむ。では行こう。大橋!案内致せ!犬!いつまで乳を飲んでいる!はようせい!」


 「は、はい!この乳が美味くて甘くて・・・」


 「小雪?小雪は濃姫様に付いて色々羽を伸ばさせてあげてくれる?風呂にでも入ってもらいヘッドスパでもしてあげてくれる?」


 「了解致しました。濃姫様?どうぞこちらへ」


 「いらぬ気を使わせてすまぬ。あまり口数は少ないが帰蝶はお主の事褒めておった。それと他の者みたいに上からばかり話をするなともな」


 「ははは。別に気にしてませんからかまいませんよ。織田様と私じゃ違いすぎます。どうぞいつも通りに」


 「ようやく・・・ワシの考えが分かる奴が増えてきた所じゃ。サル、竹中、そして大橋お前じゃ。日の本を制するとは戦うだけじゃなく治めないといけない。人は畏怖で制すものかと思っておったが違うとつくづく思う」


 いきなり何を言ってるんだ?


 「浅井に居るワシの妹を死なせたくない。市の娘を抱いてやりたい。じゃが部下の前でそんな事は言えん」


 この人も普通の人間だ。あまり下で喋りすぎると舐められ裏切られ・・・実際この時代でダントツに裏切られ回数が多かったよな?織田信長と言うのは大変だ。会った事ないし放っておいてもお市は戻ってはくるけど・・・何か手は貸してあげようか。


 「お市様の件は承りました。必ず連れて帰ります。ここが庭です。ただ・・・想像以上に整備してます」


 「なんじゃこれは!?道が平らになっておる!奥の方までじゃ!軍の演習場としても使えそうじゃ!」


 確かにこれだけ整備すれば2万人くらいの演習ならできるのじゃないか!?小雪も張り切ったな!?さて・・・戦車でも出しますか。戦時中に計画だけされた幻の戦車・・・


 「出でよ!オイ車!」


 バァァァァンッ!!


 「「「おぉぉぉーーー!!!」」」


 「鉄の家が現れたぞ!?」


 そうこの戦車。史実の第二次世界大戦の時大日本帝国が考えていた超弩級の重戦車だ。全長約10メートル全幅約5メートルな巨大戦車だ。これが生まれた理由は昔、昔の力こそパワー、でかさこそパワーと思われていた時代に生まれた怪物だ。悲しいかな走れば道を壊し、橋を壊し完成されず終わった幻の戦車が何故か時代も背景も違う戦国のゲームのガチャアイテムとして登場した。


 「堀さん!いい感想です!これは動く移動要塞とも言われ夢の戦車なのです!お乗りください!」


 運転は簡単だ。実際の戦車なんかは乗った事ないけどこれは車を運転するのと同じで操縦できるのだ。しかもオートマチックだ。砲塔を撃つ人間は別に必要だが運転手も一基は撃てる。47ミリ戦車砲だ。


 実際ではこんな事ないだろうがフロント超強化ガラスに前方のカメラから視認した映像を映し右手1本でボタンを押すだけで発射できるのだ。それに主砲は九六式十五糎榴弾砲だがこの威力が凄まじい。他にも九七式7.7mm車載重機関銃なんかが付いている。


 こうやって聞けばかなりの武装をした戦車だが例の如くゲーム内では所謂ハズレゴミだ。鈍足で敵の的になるからだ。プレイヤー同士の戦いではまず一番に全員からフォーカスされて空から陸から集中砲火を浴びてチャット欄では【経験値BOX乙ww】と煽られる戦車だ。これを俺は30台持っている。


 何でそんなに持っているかって?男のロマンだからだ!この戦車は一人では運用できない。だからフレンドやアンドロイドが必要だ。だが、フレンドは誰もこの戦車に乗りたがらない。経験値BOXだから。


 「凄い!これは凄いではないか!!この鉄なら火縄なんかの鉄砲も弾き返すぞ!槍なんかも効かないだろう!!」


 「大橋!でかしたぞ!」


 「むしろこのせんしゃとやらで日の本を平らげそうすらあるな!はははは!」


 勘違いしている。ただ一つこの戦車の欠点・・・鈍足も鈍足。運営は最高速度時速30キロは出ると説明で書いていたが平地では5キロ。坂道では3キロ。下り坂で30キロだ!人間が走る方が早いのだ。


 それと重すぎて地面が沈む。ゲームなのに史実みたいにこの戦車は出撃しただけで自分の城や町が壊れたりもするのだ。だからこの戦車はゲームでは固定砲台として使い捨てする人が多かったのだ。


 「うむ!走ってみよ!」


 ブゥォォォーーーーーンッ!!


 「「「・・・・・・・・・・・」」」


 「文句を言うつもりはないがこれは動いておるのか?先日の装甲車の方が速いのではないか?」


 そうだよ!その通りだよ!初めて乗ったのによく分かったな!?


 「確かに走るのは遅いですが・・・見ててください」

 

 俺は砲撃手の椅子に座り弾込めは自動装填なためボタン一つでいいが発射は自分で撃たないといけない。威力が分からないといけないから俯角を少し下げて発射ボタンを押した。


 「織田様?堀さん?前田さん?この威力にきっと驚く事になるでしょう。主砲発射!!!」


 ドガァァァァァーーーーーーン!!!!


 「「「・・・・・・・・」」」


 旧約聖書にあるソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ。ラーマ・ヤーナでは、インドラの矢とも伝えているがね。全日本は織田に平伏す事になるだろう・・・


 と物凄く言いたいがわけも分からないだろうと思い踏みとどまる。


 「素晴らしい!!!大変に素晴らしい!!!まさかこのせんしゃとやらが矢盾くらいにしか使えんと思うておったがこれ程の武器を仕込んであるとは・・・いやこれはワシの範疇を超えておる!」


 「お褒めに預かりありがとうございます。私が前線に居た方が間違いありません」


 「その通りだ。だがワシにも考えがある。他にはどんな物があるのだ?」


 「とりあえず連射できる銃なんかもありますが連射できるのは100丁くらいしかありません」


 「うむ。堀?もう一つ蔵を開けてこい!」


 「はっ!」


 え!?また金くれるの!?けど使う事あまりないのだけど・・・


 「近いうちすぐに精鋭を派遣する短期集中で教えてやってくれ。今日は良い刺激になった。後程、堀に銭を持ってこさせよう。犬!帰るぞ!」


 なんか焦って帰ってるようだけどどうしたんだ!?まっ、考えても仕方ない。とりあえず金がありすぎても問題だし、2箱くらい朽木さんにでもあげようかな?結納だ!結納!今日の夜にでも迎えに行こう。








 「お館様?大丈夫ですか?」


 「大丈夫なわけあるか!あれをお前も見たであろう!?」


 「はい。たしかに凄い威力でした」


 「馬鹿!威力だけではない!主砲と呼ばれる筒が下に向き彼奴は撃ったであろう?あれであの距離だ!もっと遠くに飛ばせるはずだ」


 「確かにそんな事も言ってましたね」


 「これから戦の常識が変わる!安全な本陣なぞないという事だ!」


 「お館様!!!さっき凄い音が鳴りましたが!?」


 「他愛ない!新しい武器の音じゃ!気にするな!少し一人にせい!誰も部屋に入れるな!」


 パタンっ

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