ポーカーフェイス帰蝶
「なんだとッッ!?武田の間者を雇っただと!?」
いやそこまで青筋立てなくても良くないか?
「歩き巫女とはご存じで?」
「あぁ!それくらい知っている!各地を回り口寄せや降霊術や祈祷なぞする巫女の事であろう?」
「その通りです。実は武田の情報源はこの巫女になります。巫女は付き人の者と各地を回り関所も難なく通りその場その場にて情報を集め信濃、甲斐に帰ります」
「う〜む。して、何故大橋達が雇う事になったのだ!?」
俺はありのままの事を言った。詳細は小雪しか知らないから小雪は巫女村に行き、数名を殺し埋めて数点の土産を持ち帰ったと。嘘か本当か知らないけど俺は信じる事にした。
「では一計、図ったのか?」
「はい。一名をわざと殺さずその男に上杉の軒猿と称しました」
「武田なら気付くであろうな。だが」
「織田とは分からないでしょう。原因の巫女数名が居なくなっただけです」
「今ここで武田まで出張ってこられるとさすがに危うい。個別に一つ一つ潰して参らねばならぬ!だが・・・武田はこれで暫くは動けなくなるのも事実・・・不問に致す。その巫女を手足の如く使え!」
「ありがとうございます」
なんとか許しは得たな。
「ここからは私が。浅井との戦の最前線に私を配置してください。姉川を挟み相手は必ず突っ込んできます」
「待て。ワシも既に考えておる戦術がある。恐らく浅井は鋒矢の陣にて向かってくるだろう。ワシは13段構えにて迎えようと思っている」
「残念ながらその13段構えは11段まで破られ徳川に助けられます」
「なんだと!?何故そうなるのだ!?」
「そう言われましても私は結果論でしか分かりません。未来に伝わってる事が全て本当かどうかは分かりませんので私は安全を重ね楽に勝つ方法を考えています」
「ふん。申してみろ」
自分の考えが否定されて機嫌悪くなるとか子供かよ!?
「弱小浅井なんか戦車5台並べて一撃ですよ」
「せんしゃ?なんだそれは?」
「どこか開けた場所でもあれば・・・」
「暁様?私が演習場を作りましょうか?1時間あればできます」
「ありがとう。じゃあお願いするよ。館の裏くらいにでもお願いできる?」
「畏まりました」
「織田様暫しお待ちを。とても強力な兵器にて安全を重ねないと違う被害が出る可能性もあります」
「ふん。待ってやろうではないか」
「お館様!お待たせ致しました!蔵一つ分の銭でございます」
「うむ。当面の銭で使え。暫くは過ごせよう」
「こんなにいいのですか!?かなりありますよ!?」
「ワシの銭は蔵15はある。その一つは大橋に渡す。この意味が分かるか?」
要は全財産の15分の1くれるって事ですね。
「ありがとうございます。精一杯奉公致します」
「それとついでじゃ!箸休めに・・帰蝶!入れ!」
「おや?バレてしまいましたか。先日は見苦しい所を。それにけーきとやらをいただいて、後引く味でございました」
「大橋兵部少輔暁と申します。濃姫様とお見受け致します」
「如何にも。妾は濃じゃ!何でも面白い物を持っておるとか?」
なんかこの人は苦手だ。全てを見透かされてるような感じがする。
「帰蝶よせ。これから織田で頭角を表すであろう奴だ。そうだな・・・その演習場なる物を大橋の家の裏に作るのであろう?」
「はい。けどもうすぐでできますよ?」
「どうせじゃ。今から貴様の家に行こう。新しく仕官した者も見定めてやる!ついでに何か美味い物も用意せい!」
これは予想外だ・・・セバスチャンが居るけど大丈夫か!?
「では、妾も参る事にしましょう。大橋殿?楽しみにしていますよ」
「堀!犬!銭を持って行ってやれ!」
「あっ!大丈夫ですよ!自分で持てますので!」
俺はみんなの前でインベントリーに収納したが・・・目が点になっていた。
「消えた!?」
「おい!大橋!何故消えたのだ!?」
「これも私の技みたいな物ですよ。こうやって出す事もできます!ほらね?」
「いや素晴らしい技であるな?俺も使えるのか!?」
「多分難しいかも・・・ってか絶対無理だと・・・」
「帰蝶?分かったであろう?」
「はい・・・ほんに」
濃姫だけ驚かずポーカーフェイスか。やりにくい。
館に着いた俺達は多目的ルームに入った。
「セバスチャン?織田様だ!綺麗な挨拶を!」
「うん?そのような者なんか居たか?」
「えぇ。居たわよ?織田きゅん?」
「貴様!その喋り方はなんだ!!いくら大橋の家臣といえども許される事ではないぞ!!」
本当にそうだ!!俺も冷や汗ダラダラだよ!!!
「クハハハハハ!面白い奴だ!せばすちゃんと申したか?面白い!利家?お主と同じくらいのでかさじゃないか?」
「あら?体を褒めてくれるのね?ありがとう!お礼をしなくちゃね?失礼・・・腰の備前長船を貸してくださる?」
「ほう?見ただけで分かるのか?」
「セバスチャン!!やめ!やめ!何をするつもりだ!?」
「えぇ!?だってぇ〜、これから暁ちゃんは織田家で一番になるんでしょう?ならその大殿には一番の刀を持ってもらいたいじゃない?少し待ってて?加工室に入るわよ?」
「ちょ!セバスチャン!待てーー」
「良いではないか!貴様の家臣がどれほどの腕か見てやろう。もし失敗してもかまわん!光忠の刀はまだある!」
意外にも寛容なんだな?鍛治の腕は間違いないけど何を付与するんだ!?
「はぁ〜い!できたわよ?」
「うん!?もう終わったのか?」
さすが鍛治の数値が一番のアンドロイドだ。
「セバスチャン?何を付与したんだ?」
「確か飛ぶ斬撃は撃てるでしょう?だから更に強くなるように耐久値を上げたのと刀をヒイロカネでコーティングしたからもう一生研がなくてもいいかもねぇ〜」
やりやがったな・・・。ゲーム内でも最高硬度且つ最高レアリティのヒイロカネをコーティングに使っただと!?
ゲームではヒイロカネの刀及び剣、銃などこの材質でできた装備は非常に高い。レアリティも高かった。なんせこの材質はとあるミッションをクリアしなと貰えないのとこのアンドロイド、セバスチャンが武器を鍛えてくれないと出ないアイテムだからだ。
俺はあの鬼畜ミッションを何回もクリアして一本だけ持っている。ただ俺には合わなかった。素の斬れ味は最強に近く石でもプリンのように斬れるが俺は精霊剣に慣れてしまい、この精霊剣にヒイロカネでは鍛えれなく、もしコーティングをしようもんなら精霊が死んでしまうため俺は慣れ親しんだニンフの剣をしばらく使っている。
ミッションとは・・・これはまた違う事になるので割愛する。ただ本当に貴重な鉄ということだ。
「分からぬ言葉が多いが、長船が光り輝いておる!この刃・・・おい!大橋!何か斬れる物はないか!?」
斬れる物なんかあるわけないだろ!?
「織田きゅん?その刀はとんでもなく斬れ味がいいから館の裏にある石でも斬ってみれば?驚くと思うよぉ?」
「石でも斬れると?堀!来い!貴様が証人だ!」
俺は結果が分かっているためここで待機した。
「セバスチャン?濃姫様も一緒だから側仕えさん達にも何か飲み物と菓子でも用意してくれるか?」
「畏まり〜!!」
なんかあの返事はムカつく。
「ほほほ。面白い家臣ですわね?せばすちゃん・・・南蛮の方ですの?」
「えぇ。少し縁がありまして俺に仕えてくれると言いまして」
「ほう?あのような者が居れば毎日が楽しいですわね?羨ましい・・・・」
最後の一言に全てが集約されてる気がする。気が強く見えるけど内心は寂しがり屋なのかな?城から出れず遊びも少ないからな。
「たまにセバスチャンを使っていただいてかまいません。あぁ見えて料理の腕は確かです。食べたい物は何でも作ってもらえますよ。着物なんかも斬新な物から流行りの物までなんでもしてくれます」
「ほほほ。ほんに、大橋殿は気付くお方。では今度お貸しいただきましょうかしら」
「大橋!!これは凄いぞ!!石が簡単に斬れよった!!」
「ははは!良かったです!」
「みんな集合!!!織田様みんなをお呼びします」
「うむ」
俺は機嫌がいい時を見計らってみんなを呼んだ。
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