小雪の裏稼業2
「なんだ?まだ食っておらなんだか?はよう食べねばワシが食ろうてしまうぞ?ははは」
「・・・・・・食べますか?」
「うん?今なんと?」
「海野様はこれを食べれますか?」
「何を言っておる!これはわざわざ諏訪様がお前の為に下賜した物だ。ワシが食べれるはずなかろう?」
「ふっ。やはりここでは使い捨てというわけか・・・」
「貴様!今なんとーー」
ズシャッ
「もうここへは帰らない。指図は受けない」
早くしないとバレてしまう!急ごう!せっかく毒が効かない薬を貰ったのに・・・これは後でお返ししよう。毒が効かない薬なんか聞いた事ない!さぞかし高価な薬なのだろう!私なんかのためにそこまでしてもらうなんて・・・。
「父上!」
「おぉぉ!千代女か!?どうしたのだ!?」
「理由を聞かずに私に従って下さい!時間がないのです!私は織田に降ります!」
「なんだと!?どういうことだ!?」
「いいから!訳は道中に話ます!私の家の裏手に!父上と晴信様の戦で亡くなった親族衆全員連れて行きます!」
「・・・・・余程だな。だがしかし・・・」
「海野殿!!!どうなされたのか!!?敵襲だ!いや待て!千代女はどこだ!?千代女を探せ!!!」
「お前・・・まさか・・・・」
「使い捨て。歩き巫女は使い捨てなんかじゃありません!来なければ父上とは今生の別れです!御免!」
「すまぬ。父を許してくれ。毒の事は知っていた。掟は絶対。・・・だが親父も・・従兄弟も・・・武田に殺された。娘までも・・・娘までも殺らせるわけにはいかぬ!!千代女は織田に行き自由に暮らせ!大橋という者だろう?しっかり仕えなさい」
「どこだ!!」「千代女!!出てこい!」
「己らは何をしてくれたのじゃ!!!望月信雅 娘を殺させてなるものか!!!」
「望月!貴様!!!」
「父上ッッッ!!!!」
「千代女!!行けー!!!!」
「ったくしょうがないわね。こんな大掛かりな事するつもりじゃなかったのだけど?」
ズシャッ ズシャッ ズシャッ ズシャッ!
「お、女!?それに黒い刀!?き、き、貴様何者だ!?甲賀、伊賀の者ではないな!?」
「私?私は上杉よ。軒猿・・・と言えば分かるかしら?大事な目をこんな使い捨てにするなんて武田は馬鹿なのかしら?」
ブシュッ
「うっうわぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
「足の腱を斬っただけで大袈裟な声出さないで?こちとら、こんなお遊戯みたいな戦場は1000とは言わないくらい潜ってるの。じゃあおやすみ?名前も知らない男」
シュッ
「う、上杉の軒猿だと!?何をしにここへ来た!?」
「千代女嬢の親族かしら?目元が似てるわね?」
「父上!!!」
「ち、千代女!?どういう事だ!?織田に降るのではなかったのか!?」
「あら?父上だったのね?これは失礼。織田家 家臣 大橋左衛門尉小雪と申します。先の口上は撹乱させるためでございますれば」
「撹乱だと!?」
「その男は眠り薬で眠ってもらいました。足の腱は斬りましたが。目が覚めると相手を聞くでしょう?頭のないそこらへんの豪族は上杉の仕業と思うでしょうね。けど普通に考えて名乗りもして相手を生かす馬鹿なんて居ないでしょう?」
「確かにそんな奴は居ない」
「なら私は誰でしょう?武田に土産も渡し目録まで作りました。その目録に書かれている物が数点なくなり殺した男達を片付けましたら?ふふふ」
この女は末恐ろしい。千代女も怒らせると怖いがこの女は根本的に違う。修羅場は1000を超える程潜っていると・・・嘘ではない気がする。この者に千代女は仕えるのか?
「小雪さん!」
「あら?いい顔もできるじゃない?憑き物が取れた顔になってるわよ?けど、長居は無用。連れてく人を早くしてね?この騒ぎで集まってくるわよ?」
さて・・・私は装甲車を出して早く帰りましょうか。7人を超えれば重なり合って乗ってもらう他ありませんが仕方ないでしょう。
それに暁様はこの装甲車の固有技を知らないのでしょうね。狭い道でもジャイロセンサーをフルパワーにすればタイヤサスペンションの高さが変わり元の性能で木なんかは薙ぎ倒してしまう走破性を持っていることを。一つ欠点としては燃費が悪い事だけかしら?
「小雪様お待たせ致しました。私の教え子達です。みんな昔の武田と戦い、心からは忠誠を誓っていない子達です」
「何人かしら?女の子が15人と大人が4人・・・少し狭くなるけどいいかしら?」
「はっ。少々狭くてもかまいません!」
「あらそう?じゃあこれに乗ってね?」
「「「「「えぇぇぇぇ〜〜!?!?」」」」」
「これが千代女嬢が探してた鉄の化け物と呼ばれた物よ。装甲車って言うの」
「千代女様!?千代女様はこんな物探らされていたのですか!?」
「こんなの無理じゃない!?しかも今どこから出したの!?いきなり現れたよ!?」
「とりあえず乗ってくださる?少しって言ったけどかなり狭いかもしれないけど」
「とりあえず失礼致しまする・・・え!?なにこれ!?」
「あまり触れないでね?色々装備があるから」
「いい?全員乗った?」
「ど、どうにか・・・」
「千代女?もう少し寄ってくれ!」
「父上こそ!」
「千代女様苦しい・・・」
「うみ?少し我慢してね?」
さすがに詰め込みすぎたかしら?まあいいわ。早く、帰りましょう!
「はははは!誠、暁殿の館は凄いな!こんな所に畑があるなんてな!?」
「もし何かあっても少しの間なら籠れますからね!」
それにしても遅すぎないか!?もう3時間は経つぞ!?後1時間して帰らなければ探しに行くか!?
プルルルルルルル
「半兵衛様!!壁の中で人が生きておりますよ!!」
「いね?お前は何を言っているのだ?」
遊び半分で持たせた携帯電話か。電波塔があるはずないのに何故か使える電話だ。さっそく竹中夫婦は使いこなしているな。
いねさんは多分シアタールームで映画見てるのかな?何の映画があるんだろう?
「シアタールームに行きましょうか」
「そうですな。どんな物か私も気になりますな!しかしこのけいたいでんわなる物は素晴らしい!伝令の概念がなくなる!」
「まあ、確かに伝令はいらなくなり伝達はすぐにできますからね。織田様にも渡し浅井との戦でお見えになりますよ」
「旦那様!?この壁の人達はどうやって生きてるのですか!?」
「いやいや・・・私にも分からん!暁殿?これはなんですか!?」
驚きを超えて恐れかな?
「これは映画と言って、さっきお二人を撮影した物みたいな物でこれは動く物を見ているだけですよ!」
「何がなにやら・・・」
『やろぉー!てめーっ!ぶっ殺してやる!』
なんで・・・なんでシアタールームにある映画がアーノルドシュワル○ネッガーのコマ○ンドーなんだ!?謎だ・・・。
「あはんっ!暁ちゃん!あーしこの男好きなのよぉ!この身体と身体付き・・・とろけそうだわぁ・・・」
身体と身体付きとは違う物なのか!?
「そ、そうか。セバスチャンも見ていてもいいぞ」
「ありがと!」
「暁殿?何故?何故この壁の男達は服を着ていないのだ!?」
いや疑問はそこかよ!?
ドドドドドドドドドド
うん?何か聞こえだしたぞ?あの音は・・・装甲車か!?
「暁殿?なにやら聞こえないか?」
「はい。多分例の装甲車だと思います。小雪だと・・・。半兵衛様は風呂にでもどうぞ。俺は確認しておきます。セバスチャン?半兵衛さんを風呂に!」
「はーい!半兵衛きゅん?お風呂に行きましょうねぇ〜!?」
「わ、私は一人で風呂とやらに入れる!」
「恥ずかしがらなくていいのよぉ〜?あーしも体は男なんだから」
半兵衛!頑張りたまへ!!!
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