クソな将軍
迎えた夜、時間で言えば18時頃だろうか。俺は大広間に呼ばれた。事前にこの寺の僧の人に食事の事を伝えたが肉の事は少し眉を顰めたが拒否はされずに済んだ。
「拙僧が肉を食らう事は罷り通らぬがお出しするだけであれば・・・だがこの匂いは・・・」
「そこまで気になるなら食べてもいいんじゃないですか?もし食べたいならお出ししますので後で言ってください」
寺の人は大変だな。自らドMみたいな食事事情なんだから。
俺と信長さんが対面で座り待っていると部屋の中だと言うのに甲冑を着た偉そうな若い子が木を叩いた。
カンッ カンッ
「将軍の御成〜り〜」
俺は心の中で笑ってしまった。本当にあんな登場するのだなと感心すらしてしまう。
「おい!大橋!顔がニヤついておる。建前上はしゃんとせい!ワシでも頭(こうべ)を垂れているであろうが」
「すいません!」
小声で話、小雪は目を閉じてお辞儀をしている。小雪も戦闘服から着替えさせアンドロイド用の着せ替えアバターの一つ、薄い青色の生地の小袖と打掛を着てもらっている。そこまで上等ではないが恥ずかしくはないだろう。
「此度は命からがら・・・だったみたいだのう?」
「はっ。義弟が旧来の同盟を重視したようであります。だがすぐにでも浅井を殲滅してさしあげましょう」
「ほっほっ。そうできれば良いな?飯を」
なんか俺はこの人嫌いだ。典型的なダメな男のように思う。それに偉そうだ。頭を上げろと言うてくれないし。
「将軍。面を上げても?」
信長ですら一応筋を通して頭を下げたままだが・・・。
「おっとこれは失礼。麿とした事が官位のない者の事を忘れておった。良い!面をあげて良いぞ?ほっほっ・・・・その女子(おなご)は誰じゃ?愛(う)い女子じゃのう?」
「お戯れを。この女は今日この飯を用意したワシの家臣 大橋の妻ですぞ」
「ほっほっ。妻同伴とは許可しておらぬが?その方・・・麿に許可なく女子を連れ込んだな?だが麿は心が広い!許してしんぜよう。ほっほっ」
クソ!こいつマジでムカつくな?
「将軍。食べましょうぞ。冷めてしまいますぞ」
「ほっほっ。武家は余裕がない者ばかりじゃ。料理は逃げはーー」
ふん。俺が出した洋食のフルコースだ!驚いているな。当たり前だ!潜水艦ガチャの副産物だぞ!?驚いてくれないと困るぞ!!
「これは・・・獣肉か?信長殿は食べておる・・・のか?」
「美味いですぞ!ワシは食べ物に差別はしない主義ですので。肉だから食べないとかそんな事言うては飢えるのみ。将軍もお食べなされ」
「ほっほっ。では麿もたまには食べてみせようかのう。彩はまあまあじゃ。京料理・・・程ではないがのう」
負けず嫌いだな。まっ、俺も食べよう。腹減ったし。うん!飯は美味い!この時代の飯しか食えなかったらどうしようかと思ったけどなんとかなるな!
「味はまあまあじゃのう。食べた事のない食感の物が多いが普段は薄い味付けが好みじゃがこれ程とはのう。織田殿?この者を麿にーー」
「ふん。それこそお戯れを。その者は織田家の重臣。将軍にはかなりの者を付けてあるではないですか。屋敷も新たに建てこれ以上何を望みですか?」
「この者の飯は美味い!おいお前!従五位下ではなく正三位上にしてやる!麿の料理人にならぬか?」
絶対にお断りだ。
「はっ。嬉しい申し出ですが身の丈に合わぬ官位は身を滅ぼします。私は織田様の支配内です。どうか平に」
こんな言葉遣い使った事ないけど間違いないよな!?
「ではその女を貰う!麿の夜伽を命じる!喜べ!そうだ!女は従四位下を与えよう!」
「お断り致します」
いや即答すぎじゃね!?言葉選べよ!?
「な、おい!女!お前は麿の女になれるのじゃぞ!?将軍付きの女じゃぞ!?」
「だからお断り致します。私は大橋暁様の正妻であり護衛でもあります」
「護衛?ふん。女が護衛なぞ・・おい!男!お前は信長殿との約束じゃから従五位下 兵部少輔を名乗るが良い」
「ありがとうございます」
「じゃが!信長殿?女は貰うぞ?」
「それこそお戯れを。この女はワシをも負かす腕を持っております」
「ほっほっ。信長殿が女子にやられると?ほっほっ!これは諸大名に知らせてやらねばなりませんな?将軍の一番の'家臣'たる信長殿が女にやられるとな?ほっほっほっ!」
これが将軍か!?ただの道化だろ!?信長のおかげで将軍になれただけの奴だろう!?なんなら俺でも負ける気しないぞ!?人の女に好き放題言いやがって!許さん!
「将軍?舐めるのもーー」
俺はいつか俺がやってみたい手で制する事を信長にされた。カッコイイ・・・
「諸大名に書状を送るのは結構。折角なので食後の鍛錬を将軍もいかがであろうか?小雪?できるか?」
「はい。喜んで」
信長と小雪がニヤッとしてるのが恐ろしい。
「では麿がその女を打ち負かせば貰っても良いと?」
「万が一そんな事があるのでしたら今後、将軍と反対の政策を取る事をおやめしましょう」
「ほっほっ!おい!お前!今日から麿の料理人ぞ!打ち負かそうぞ!」
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