やはり甘党な織田信長

 「なんと!?未来から来たのか!?」


 「信じれないと思いますが本当です」


 「いや信じよう。見た事ない物。そして貴様達だ」


 「実は小雪も人間ではないのですよ」


 「なに!?ではなんだと言うのだ!?」


 俺はアンドロイドの事も俺の剣の事も嘘を言わず本当の事を教えた。そして帰りたくても帰り方が分からずここで生活する上でどうせなら認めてくれる織田で働きたいと言った。


 「では、ワシも貴様に見合う者にならぬといかんな。そのための礼じゃ。儀は夜に行うが貰っておけ」


 案外事細かくは聞いてこないのだな。何か紙切れ渡してくれたけどなんだろう?ミミズみたいな字で読めないけど・・・。


 「織田様?これは官位の書状でお間違えないですか?」


 「うむ。従五位下 兵部少輔 将軍からの書状だ」


 さっきまでまったく興味のない官位だったが急に嬉しく思う。この人に天下を取らせてみたいと思う。俺なら日本全部の武将と戦っても勝てる装備はあるけど織田に天下を取らせてみたい。そう思った。


 「もう一つ。将軍に夜に打診してやる。小雪?其方も官位を授ける!正六位下 兵部大丞 其方の旦那の下だ。夫婦(めおと)同士仲良くやれ」


 「あ、ありがとうございます!私が織田様が天下を取れるように頑張ります!」


 「ふん。調子の良い女め。大橋!いや、暁!貴様も嫁に負けぬように励め!そしてたまにワシの刀の稽古に付き合え!」


 「分かりました。私も微力ながら頑張ります。織田様はあまり未来の事聞いてこないのですね?」


 「ふん。知れた事。貴様等二人が我が陣営に来た事でより一層先が見えてきた。貴様等に聞かぬとも分かる!」


 この自信は凄い。本物だ!


 「分かりました。もし疑問とかあればお聞きください」


 「全てを聞けば面白くない。そしてワシが成長せぬ。失敗をし、その失敗を克服してこそ実となるのじゃ。貴様も覚えておけ!」


 すっごい深い言葉だ。


 「はっ!」


 自然と俺はこの人に従う返事が出てしまった。信長が未来に行くとすればどこか大企業の社長とかになってそうだ。ただ、ブラック企業な感じもするが。


 「それと飯の方ですが見てください」


 俺はインベントリーからさっきのメニューを取り出す。


 「さっきから思うが貴様の技は凄いな。何もない所から物が色々出るのだな?それに良い匂いがしておる!食ろうても良いか?美味そうだ!」


 「はい。こればかりは慣れてもらう他ありませんしこの技は出来る事ではないのでなんとも・・・。それと飯の方はかまいませんよ。これと同じ飯が1000セットくらいありますので」


 「1000せっと?どういう意味じゃ?」


 「すいません。同じ飯が1000個あるという事です」


 「そんなにか!それとこれはなんの肉じゃ?美味いのう!ワシの料理人にも教えて欲しいくらいじゃ!」


 「織田様は肉に忌避感はないのですね?」


 「ふん。悪戯に殺生する者はワシは許さぬがその生き物、獣の命を貰いワシ達が食らう。存外坊主共も肉は食らっておる。仏の教えかどうか知らぬがワシはそんなものに縛られぬ!美味い物は美味い!ただそれだけじゃ!」


 この人が麒麟児と呼ばれる所以か・・・。斬新な考えだ。


 「これと同じ物を将軍に出してもよらしいですか?」


 「これで良い。して、このプルプルしてる物はなんぞ?」


 「それはゼリーです!甘味ですよ」


 「ほ〜う。甘味とな?どれ・・・・。貴様・・・これをもっと寄越せ!美味いではないか!この世の物とは思えぬ至高な味、食感はツルッとして喉越しも良い!味わった事がない!」


 おっ!?なんだなんだ!?ゼリーくらいでそんなに興奮するか!?


 「織田様?」


 「小雪?なんじゃ?」


 「暁様の技にて岐阜を強制的に発展させる物がございます。それをすれば様々な甘味も岐阜の人達に作らせる事もできますよ?そして織田様が描いている本物の楽市楽座をお見せできますよ」


 「ほう。確かに貴様等は未来から来たのだから知っていような。岐阜に戻れば今一度家臣共に貴様等の事を言おう。それから頼む。岐阜を日の本一発展させようぞ!」


 俺は知っている。この人が天下を取る前に亡くなる事を。あの高飛車な、明智ファッキンサノバッ光秀のせいで。


 もしこのまま歴史が進むとしても本能寺は阻止するか。そもそも起こらない線も有り得るしな。

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