洋食フルコース

 「暁様?これなんかいかがでしょうか?洋食フルコースセットです」


 「おっ!?いい匂いだな。ってかこんなアイテムあったんだ。初めて見たよ」


 「ゲーム内では体力、気力が半回復。力が少しの間upします」


 メニューは・・・おいおい!食い物は本当にリアルなんだな?生ハムとモッツァレラチーズのサラダとオニオンスープ、魚のソテーかな?それと小さいステーキにシャーベット、コーヒーか。


 「俺現実でも食べた事ない物ばかりなんだけど?」


 「なら今から食べられますか?」


 「いや、信長とこの後昼飯食べる様に言われたからその時に出して俺も食べてみるよ」


 「分かりました。私はどうしましょうか?」


 「どうせだから一緒に来る?それで小雪を咎めるようなら俺は織田から離れるから」


 「それはいけません!私はここが暁様の居た過去だと確信していますがこの時代は男尊女卑です!暁様の出世に響きます!」


 「いや、正直俺は成り上がろうとか思ってないんだよ。帰れなかったとしてもゲーム中はなんの意味があるか分からなかった産廃アイテムが山程あるからなんとかやっていけそうだしね」


 「ですが・・・」


 「いいからいいから!」


 俺と小雪が話ししていたら竹中が小走りでこっちにやって来た。


 「聞いてきましたぞ!将軍は食に煩いらしく薄い味付け・・・所謂京料理が好みのようですな?」


 「竹中様?聞いてもらったところ申し訳ないですが出す物は決まりました。下品ですが見てください」


 俺はイベントリーから地面にさっきのメニューを出した。どういう原理か分からないが温かい料理なんかはインベントリーから出すと出来立てのように温かいままだ。


 「こっ、これはなんですか!?美味そうな匂いがしておりますぞ!」


 「未来の南蛮の料理ですよ。これは肉料理ですが大丈夫ですか?」


 「将軍は元仏門に入られてたお方。好ましくはありませぬが最近では建前だけで存外獣肉を食されてる方も多いのですぞ?かく言う私も肉は好みですな?ははは」


 「竹中様には助けられてばかりなので料理は山程ありますので今度お出ししますよ」


 「ははは!楽しみにしておきますよ。では私は饗応には呼ばれていませんので、一足先に岐阜に帰らせていただきます」


 「え!?もう帰られるのですか!?」


 「私は木下様・・・失礼。羽柴様の与力。羽柴様に着いていなくてはならないのですよ。また岐阜で会えますよ」


 「分かりました。ではまた今度に」


 ってか、俺完璧に一人になってしまったじゃん!?大丈夫なのか・・・・。俺はそのまま先程の座敷に戻る。小雪を連れて。


 「おう。大橋か!さっきはすまぬな」


 「池田様でしたよね?」


 「そうだ!ああでもせぬとご機嫌がよくないのだ。許せ」


 「いやまあもういいですよ」


 「して、その隣の女子(おなご)も連れてか?確か護衛なんちゃらだったよな?」


 「護衛アンドロイドの小雪でございます」


 「ほぅほぅ。よく見ると別嬪じゃな!」


 確かに普通に和風アンドロイドだが綺麗だと思う。


 「池田様?私は暁様の正妻でございますればお戯れをよして下さいまし」


 「うん!?なんじゃ!?大橋の嫁さんか!?それならそうと早く言え!他人の女を口説こうとした己れが恥じゃ!すまん!」


 え!?あれで口説こうとしてたの!?


 「なんじゃ?もう参ったのか?」


 俺と池田は慌てて信長に頭を下げる。


 「見慣れぬ女が居るな?何用ぞ?」


 「私の妻でございます。寺の入り口にて待たせておりましたが勝手にお呼びして申し訳ありません。後、私の護衛でもあります」


 「ほう。女で妻で護衛か。つくづく面白い奴だ。どれ程の腕前だ?」


 「織田信長様とお見受け致します。私の腕を見たいならご自分でいかがですか?」


 「おっ、おい!何を言ってるのか分かっているのか!!?」


 「池田?良い。此奴も面白い。表に出い!相手してやろう!誰ぞある!大般若長光を待てい!」


 「お館様!この女子(おなご)は些か失礼ではございまするが大橋の妻!どうか平に平に・・・」


 俺もビックリしてるが俺より池田の方が宥めてくれるのな。さっきは今後助けないと言ったけど撤回しよう。ってかそんな事よりこの始末どうすりゃいいんだ!?


 「だ、大丈夫なのか!?」


 「え?何がですか?私が負けると思ってるのですか?」


 「いや逆だ!やりすぎないか心配なんだ!」


 「そこはお任せください。私も暁様が離れないようにするためです。大般若長光・・・刃長73.6センチメートル、反り2.9センチメートル。造り込みは鎬造(しのぎづくり)、刀姿は腰反り高く、切先は中切先(ちゅうぎっさき)詰まり猪首(いくび)」


 「おいおいどうしたんだ!?」


 「私の黒刀 夜叉丸が負ける道理がありません。安心してください」


 いやだから負ける心配はしてないって言っただろ!?やりすぎになるかを心配してるって言ったじゃん!!?


 「なんだなんだ!?」「お館様!?どうされましたか!?」 「何か始まるのか?」「いったい何が始まると言うのです?」


 「ふん。見物人が増えたな。まあ良い。どこからでも打ち込んでくるが良い。貴様等も見ておけ!貴様等より修練を積んだ女子(おなご)ぞ!」


 えっ!?どういう事!?それって既に認めてるって意味じゃない!?


 「では・・・参ります。ただの長さを活かした薙ぎ払いです。織田様?受け止める事はおすすめしません」


 「ふん!来い!」


 ブォォォォーーーーーン!  ガキンッ!


 「「「「おっ、お館様!!」」」」


 「チッ・・・やるではないか!このワシをただの一合で仰け反らすとはな・・・こちらからもお返しをせねばなるまい」


 ブォォォォーーーーーン!  シャキッ!


 「「「「おおおぉぉぉ!!!!」」」」


 危なっかしくて見てられないぞ!?信長も負けじと同じ薙ぎ払いをしたけど戦闘アンドロイドに勝てるわけないだろ・・・受け止めた後、更に受け流しもしてるし・・・どこで止めようか・・。


 「ハァーハァーハァー・・・」


 「お館様!?大丈夫でございますか!?」


 「下がれ!まだ終わっておらん!」


 「先程の薙ぎ払いで肋骨を折りました」


 「き、貴様!皆の者!お館様を守れ!」


 「動くなッッッ!!!それでも織田の兵かッッッ!!黙って貴様等は見ておけ!!剣で打ち負かされそうなのは親父以来だ!この感じ心地良い。口惜しいが剣技は女の方が上じゃ!名をなんと申す?」


 「暁様の護衛アンドロイド 課金額7万円 【H02型MK-2 護衛戦闘アンドロイド 小雪】です」


 「長い名だな・・・」


 いや何でここで経緯まで言うの!?課金額は言っても分からんだろう!?


 「小雪でかまいません」


 「では小雪・・・最初で最後だ・・受けてみよ」


 「あのお館様の構え・・・」 「まさか・・・」


 「ふんッッッッッ!!!!!!!!」


 ドォォォォォーーーーーーン!  シュッ!


 「な、なに!?受け流しただと!?」


 「激流を制するは静水・・・あなたの剣は達人の域まで到達していますでしょう。ですが私はその上に居ます。今の上段から振り抜くのを少し遅らせ左足を半歩前に出し同じ技を出してみなさい」


 いや、どこかで聞いたことある言葉だな!?現代の漫画だったよな!?いやそんな事はどうでもいい!さっきの音はなんだ!?刀の振りかぶる音じゃねーぞ!?それに信長になんちゅう上から目線で言ってるんだよ!?キレられるぞ!?


 「こうか?」


 え!?素直に聞き入れてるぞ!?


 「ええ。その構えからどうぞ」


 ドォォォォォーーーーーーン!  バァァァァンッ!


 「と、このように飛ぶ斬撃です。銃のような遠距離攻撃ではございませんが他の者を寄せ付けない、一定の修練者のみが到達できる剣の頂です」


 「お、女ぁぁぁぁ!!!そこに直れ!!!お館様!!ご無事でしょうかぁぁぁ!!!?」


 これまた近付いてくる人を手で制する。


 本当にあれカッコイイな!!


 「ではワシもその頂に到達していると?」


 「私の見立てではここら周辺で織田様に剣で敵う者は居ないでしょう。一人を省き」


 「その一人は其方か?」


 「いえ、今の斬撃を覚えた事で私と互角になりました。そして男と女・・・男の方が身体の筋肉量の違いから確実に私は長期戦になり負けます」


 いや嘘ばっかだろ!?小雪に筋肉とか関係ないだろ!?


 「ではその者とは?」


 「大橋暁様・・・私の主です」


 「えぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!?!?」


 「ほう。貴様も剣をやるのか。しかもワシに敵うと・・・。飛ぶ斬撃を見せてみろ」


 いや小雪はなに言ってんの!?敵うわけねぇ〜だろ!?飛ぶ斬撃だって俺はニンフの剣でなんちゃって斬撃なんだぞ!?ってか、現実に飛ぶ斬撃放てる人とか怪物だろ!?


 「暁様・・・お見せください」


 なんで懇願する目で小雪は見てくるんだよ・・・もうどうなっても知らねーぞ!?


 「あの石壁をご覧ください」


 俺は軽く剣を振った。


 シューーーーンッ!  ガギンッ!


 「おーーーーー!!貴様もできるではないか!皆の者!ちょうど良い!聞け!今日からこの大橋暁と小雪を召し抱える!文句がある奴は言え!」


 「「「「「・・・・・・・・」」」」」


 「ないな!此奴らを馬鹿にする奴ら手討ちに致す!忘れるでないぞ!散れ!」


 「織田様・・・・妻が申し訳ありません・・・」


 「良い!これだけ気持ちよく負けたのは久しぶりじゃ!だが悪くない!それに剣の先が毛程ではあるが見えた気がする・・・」


 この人は何を言ってるんだ!?


 「織田様こちらをどうぞ。お薬でございます」


 あれは骨折に特化した骨折なのに飲み薬の【養骨酒】か!?潜水艦ガチャの副賞だったよな!?


 「うむ。すまん。酒か・・・。こんな物で骨が治るのーーうん!?痛みがなくなってきよる!?」


 「はい。暁様が出す薬は格別でございます」


 「この際だ・・・何を聞いても驚かん。貴様の事を教えてくれぬか?」


 俺は朽木や竹中に言った時より事細かく教えた。


 

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