ハニートラップ
「このような不恰好、返り血だらけで申し訳ありません。大橋暁と申します。もしよろしければ水を補給させていただけませんか?」
「いやそれはかまいませぬが、我が屋敷にて飯なんかもどうぞ。さすがに朽木谷まで朝倉浅井連合も来やしますまい」
そう言ってもらい、木下、明智、竹中、池田は大きな日本家屋に呼ばれて行った。俺も辛うじて呼ばれたが明智はいい顔してなかった。
みんな別々の部屋に呼ばれ女の人が一人着いた。俺も一人女性が着いてくれたわけだが・・・・なんで俺だけおばさんなんだよ!?
「まずは御召し物を交換し、お身体を清めさせていただきます」
俺はそう言われ急に思った事がある。さっきまで気にしてはなかったがタライに入った水に反射した自分を見たからだ。てっきりアバターのままかと思ったが・・・現実の俺の姿だった。
「うわ・・・マジか・・・アバターだと思ったらリアルな俺じゃん!」
「え!?な、何を言われておりますか!?そりゃ他の皆々様に着かれた女中よりは年がいってますがそれでもあなた様に一生懸命にーー」
「いやいや、あなたの事じゃないですよ!自分の事です!すいません!」
謝りまくってなんとか理解してもらったが・・・これがリアルか!?女性に服を脱がしてもらったのはお袋以来だ。現実に居た頃の彼女と事を致しても服を脱がされた事はなかったな・・・。ってか、どこまで綺麗にしてくれるんだ!?
「では・・・その殿方の・・・最後の御召しを・・・。あら!?変わった御召しで!?」
え!?マジでボクサーパンツまで脱ぐの!?これを珍しがるとは・・・この時代は褌なんだよな!?いやでもマジで脱ぐの!?おばさんとはいえ、ちょっと反応してしまいそうなんだが!?
「失礼します・・・フッ」
いやなに!?脱がしてくれたから脱いだけど俺の愚息見て鼻で笑いやがったな!?クソババアが!!さっきの気持ち悪さでそんな気分ではないけどよ・・・。悲しい・・・。
「ありがとうございます。服は自分で代えを用意してますので後は自分でできます」
「そうでございますか。ではこの御召しは洗わせていただき、明日にはお返し致します」
この時代は手洗い基本の洗剤なんかもなかったよな。確か絶対に使わないアイテムがあったはずだが・・・・あった!あった!これだ!ゲーム中には何に使うんだよ!?と思った物だけど今ここで役に立つぞ!
【液体洗剤】
これだ!確かゲームでは臭いとか分からないが同じ服を着て作業してたら魅力度がどんどん減り他のNPCプレイヤーが去っていったり新しい人が来なくなったりするんだよな。
「ここを右に回し蓋に中身を入れて洗ってみてください。汚れはすぐ落ちる筈です。泡が立ちますので泡がなくなるまで流してもらえれば助かります」
「な、何もない所から・・・」
また驚くのかよ・・・。まあ初めて見たら驚くか。
「おばさん?これは私の能力です。あまり人に言わないでいただければと思います。そうだ!おばさんにだけプレゼントします」
オレはインベントリーの飴玉を出した。ゲームでは気力が少しupするものだ。現実で気力が何かは分からないけど。
「あ、甘い!!」
「食べれそうでよかったです。ではよろしくお願いします」
オレは代えの服をインベントリーから出した。いっぱい服はあるがこの時代に似合わない物の方が多い。ジャージとかパンツ一丁の服とかだ。
さっきまで着てた服は隠し能力があり体力少しupと恐怖度が少し抑えられる能力が付いていた服だがこれから着る服は主に大きなイベントなどでしか着なかった服にした。防御力増し増しの服だ。家紋はこれまた十字家紋・・・島津だ。
「まあ!立派な御召しでございます。先程は殿方のナニを見て笑ってしまい申し訳ありません。妾がもう少し若ければ御相手をお願いしたいところでございました。では暫しお待ちください」
いややっぱ俺の愚息を馬鹿にしてたのか!?若ければ御相手って・・・こっちは願い下げだ!どうせなら若い子がいいわ!!
その数分後に大きな広間に呼ばれ向かうと立派な膳が並べられ和食が並んでいた。明智や木下の顔を見るがなんか、スッキリした顔をしてるな。まさか・・・こんな時にこの人達は・・・許すまじ!!オレはおばさんだったんだぞ!?
飯は栗ご飯に薄い味噌汁、たくあんだった。久々の和食だったせいか普段なら正直ショボい飯に見えるが普通に美味かった。
「急な事で存分な飯を用意できず申し訳ない」
「いやなんの!なんの!戦時にこのような豪華な飯が用意できるとは朽木殿は先見の明がございますな?何でも浅井と手切れしたとか?」
「さすが明智殿。その通りでございます。松永殿に諭されたように見えますが某は始めから織田様が来られたら道を確保しようとしておりましたが、あの変わり者の松永弾正のせいで某は織田様の御命を狙っているという風に見られましてな」
「さすが松永殿・・・ですな。相変わらず食えない爺です」
松永弾正・・・松永久秀か?あのボンバーマンか!?
「さ、さ!まずは疲れを癒やしていただきたい。朽木谷の入り口に某の兵を潜ませております。何かあると連絡があるようにしております。織田様は昨夜ここ朽木谷を抜け京に向かっております」
「すまない。朽木殿の事は必ずお館様に申しておく」
「ははは。よろしくお願いしますよ。この後切腹なんか言われるのは御免被りますからな」
確か朽木元綱は1600年以降も生きてたと思うからこの仕置きは大丈夫なはずだ。それより松永はひでぇ〜な。人を蹴落とし、貶しこの撤退も自分の功績にしてしまったんだな。なんとまあ・・・本当に戦国の人だ。
「して、戦況をお聞きになっても?」
「ワシが言おう」
池田って人が言い出した。概ね俺が居たリアルな現実の史実と合っていると思う。金ヶ崎城まで攻略はできていたそうな。浅井の裏切りに合い挟まれる前に撤退したと。
「事ここに至って大局が見えぬ浅井殿とは思わなかったがな」
「旧来の同盟を重視したのでしょうな」
なんか俺一人場違いな感じがする・・・。出された酒も臭くて飲めたもんじゃないし・・。
「して、其方は見慣れぬ物に跨っておったな?」
「え!?あ、はい。あれは私が出した物です」
「某も乗ってみたいのう」
「いいですよ。水も補給させていただきましたし。なんならあれより大きな物もありますよ」
そう言い朽木谷 朽木家屋敷の外の広場に向かう。そこで装甲車を出したが・・・俺はビックリした。弾倉が入ってる車内の指紋認証で開くボックスに弾倉が補填されていたのである。
「こ、これはなんですか!?このような物・・・某、京でも見た事ございませぬ!」
「いやすいません。ちょっとお待ちください!」
俺は考えた。何故弾倉が補填されているのかを。確かガチャで当たり、初めて使ったのが昨日の銃乱射だが・・・たしかに走行する以前から燃料メーターは減っていた。それに2回目の乱射をした後更に燃料が減っていた。
って事は・・・燃料の水に直結してるのか!?ならずっとトリガーハッピーできるんじゃね!?
「あぁ〜・・・大橋?大丈夫か?」
「えっと・・・木下様で宜しかったですね?」
「如何にも。ワシが木下じゃが」
「なんというか・・・竹中様に助けられました。ここで礼を言います。そして外に居る明智様は俺苦手っす」
「馬鹿!声が大きい!また、その話は聞いてやる!とりあえずこれにワシも乗せろ!」
「分かりました。ありがとうございます。朽木様?どうぞ!」
「うむ。ここから入るのだな・・・なんだ!?この場所は!?そしてこの柔らかい物はなんだ!?ふわふわしておるぞ!?」
まあ後列ダブルウィッシュボーンサスペンションだからな。乗り心地はいいはずだ。
如月!?元気にしてるか!?ハズレの中でもまだマシな装甲車はかなりの当たりだぞ!
「さすが竹中殿の一族ですな?いやはやこのような物に乗れるとは!まるで移動できる城ですな!ははは!」
言い得て妙だな。確かに小さいが移動式の城だな。まずこの時代の攻撃なら弾いてしまうだろうな。
「うむ。堪能させてもらった!皆様も撤退で疲れている中、某の我が儘に付き合わせて悪い。今宵はこの辺で休もう」
「はっ。ご配慮ありがとうございまする」
明智が綺麗な挨拶をして充てがわれた部屋に案内された。布団なんかまだなく、柔らかめの畳がありそこにクッソ固そうな枕と振り袖みたいな物が敷かれていた。
ガチャの副産物に布団もあるけどここでは出さない方がいいかな。また色々聞かれそうだし。このまま寝ようかな。
「失礼・・・致します」
「はい?なんでしょう・・・うか?」
やば!!めっちゃ薄着の女の人が現れたんだけど!?
「今宵の寝屋を共に・・・殿方の疲れを癒すよう言われました。さきと申します」
「・・・・・・・・」
「わ、私ではご不満でございましょうか?」
「い、いえいえ!あまりにも綺麗すぎでビックリしていただけです!!疲れを癒すってマッサージでもしてくれるんですか?」
「え!?な、何をおっしゃっているのか私には・・・・」
「いえ、すいません。なんでもありません」
これはヤバイ!ヤバイぞ!?こんな綺麗なハニートラップに引っかかる俺では・・・・。
「そちらに入らせていただいても・・・?」
「え!?あっ!!ど、ど、どうぞ!!」
クッ・・・久々の事でテンパってしまう!シャッキっとしろ!俺!
ふふふ。存外簡単な男ね。我が殿は少しでも共にし『できれば一回で身籠れ』とおっしゃいましたがこの男の何に惹かれるのか。少し顔はカッコイイですが体も細く髪も黒じゃない南蛮のような者ですが。銭はあまり持ってないように見えますが・・・あの振る舞いは女に慣れていないみたいですね。妾から誘いますか。
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