第14話 舞台裏にて②
───カラン。
空になった缶が一つ転がった。
「……始めるとするか」
早速500mlを一気飲みしたらしい。ゴミは持ち帰れ。
サングラスを外す。瞳を開けば、視界は数字にまみれる。薄っぺらいとはいえ、島のサイズをかんがえれば膨大だ。1つ、また1つと消していく。手を翳しながら正確に幻覚を。森を形成している木々が少しづつ消えていった。
『マーキング』された木だけは避けて。と言うか、能力を使って傷をつけられているので、否が応でも避けなければならない。消せはするが何倍も掛かってしまう。4人が目印にしたものをわざわざ今消す理由もない。グループ化して置いて、後で1つ消せば消えるようにしておけばいい。灯火が導くかのように立ち並び、目的地への道しるべとなっていた。
(マーキングしたのは先発隊。1時間程度で甲斐たちも入ってるな。……何かあったな)
「演算は雑、ただの目眩しにしかならない。20年前急に隆起したからか、木の急成長に違和感を覚えず報告もされていない。あんだけ異質なんだから何かが住み着いたとしか考えられねぇよな」
島袋にも当然、相棒をつけなければならないが、人員不足な上に内勤がメインになっている。それに更なるお上は彼がここに来ていることを知らない。始末書覚悟だ。下手したら全員強制入院して休業レベルの事態を想定しなければならない為、死なば諸共だ。それなりの給料と居住地はある。最悪、連帯責任で1ヶ月くらいは謹慎だろう。毎度毎度情報不足のまま投入、現場対応では中間管理職の島袋の部下からの評価はだだ下がり。自ら出向かなければそろそろストライキを起こされかねない。現場対応出来るのは自分たちしかいないが、厄介払い部署であることは否めない。いくら理不尽であろうと。やり取りもリモートでやる始末だ。
(身バレしたくなかったからな)
部下は誰1人、島袋の素顔を知らない。今回はバラさねばならない。死者を出すくらいなら身バレを気にしている場合ではない。ホントは表に出たくないけれど。器用にサクッと協力してサクッと去りたい気持ちはあれど、チートに見える能力も万能ではない。限界はある。高い能力ほどデメリットもデカいからだ。
(咲華楽は天才肌で、その場で臨機応変に応用や出来る最大を割り出すのも行動も異常に早いが、負担がヤバいくらいデカい。しかも直感型だから説明が
真人並に理解もしていたが酷い。
(甲斐は秒単位だが、時間を止める能力と喧嘩慣れを上手く使いこなせている。人間の女と何があったんだってレベルで異形女に傾倒し過ぎているが、プライドがエベレスト並に高いから多少バランスが取れてる。キレたら手癖も足癖も口も悪過ぎて目も当てられなくなるが)
使えて理解もしたものしか扱わないあたりは評価が高いが、酷い。
(川口は揺るがないオタクの割に知識幅が広い。2次元変換しなければ通じるが、能力理解すらアニメ知識で語るから本人以外伝わらないことが多い。結界張らせたら絶対割れないのは強いが、ありゃまだ何か隠してんな。仲裁にもってこいの人材ではあるが腹が読めない)
欠点と良点が背中合わせ過ぎて酷い。
(有栖川はまだまだ能力が未開発ではあるが、かなり広範囲のレーダー、索敵能力がずば抜けている。育てたら化けるけど、中身が子どもだから時間は掛かる。理解力低過ぎるが素直さが強みだからな。アレもヤベェくらい異形女に傾倒してるし、バランスが取れるものがないから危なっかしい。ホストになれとは言わねぇけど欠点を利点に出来たら強いよな)
把握はしつつも知育学習が必要で酷い。
演算破壊をとめどなく行いながら、着いたらどんな指示を出すのが妥当かも脳内会議をしていた。
そんなことをかんがえながら前進していく。1時間は覚悟して進んでいく。まだまだ村は見えてくる気配は無い。
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